
長野県東御市の梅野記念絵画館の山本弘展も明日までとなった。2か月半もあったのに早いものだった。昨日3回目の訪問をした。


「過疎の村」は真夏に無人になった廃村を訪ねた記録。レモンイエローが灼熱の太陽を表している。

「洪水」は昭和36年の飯田地方を襲った集中豪雨の記憶。「雪の三叉路」はロマンチックな題名だが、雪吹雪の中で進む道を迷っている画家自身の懊悩を描いているようだ。


白い河(天竜川火)の向こうに河岸段丘がある。段丘は支流によってブロックのように区切られている。その造形と川の白く輝く流れが面白かったのではないか。

山本は何度もアル中治療のため精神科に入院していた。その時見かけた入院患者だろうが、自画像を重ねていた節もある。

旧街道に建つ一軒家。それは自画像でもあるだろう。白く輝やく家はまさに自己評価を示している。

「銀杏」は奥村土牛の「醍醐」の構図を借りた山本自身の強い存在感を示したもの。「流木」は血のような激流を流される流木を自身の生涯に重ねている。

愛娘湘(しょう)を描いたもの。

自信と妻子を描いている。3人の特徴をよくつかんでいる。私は「聖家族」と思っている。

「愛子(絶筆)」はまさにこれを描き終えて亡くなったものと思われる。遺体の傍のイーゼルに立てかけられていたという。おそらく初めて酒に酔って描いただろうと思われる。造形的に弱いのは酒のせいで、妻への愛憎半ばする気持ちが表れている。
それに対して「側」は断酒していた47歳のときの作品。妻への愛情が表れている。

40歳の自画像。

34歳の時のデッサン。
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山本弘展「All is vanity. 虚無と孤独の画家――山本弘の芸術」
2023年9月9日(土)―11月26日(日)
9:30-17:00(月曜休館)
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東御市梅野記念絵画館
長野県東御市八重原935-1 芸術むら公園
電話0266-61-6161