「'文化'資源としての〈炭坑〉展」が面白い

 目黒区美術館で開かれている「'文化'資源としての〈炭坑〉展」が意外にもすごく面白い(12月27日まで)。私はここに出品されている野見山暁治の作品を見るために行ったのだが、この展覧会自体がすごく面白かった。
 展覧会は「炭坑」を美術作品とイラスト(マンガ)、写真、雑誌等で紹介し、また市民ギャラリー全面を使った川俣正の炭坑町を模型で再現したインスタレーションから構成されている。
 絵画は野見山暁治(お父さんが炭坑の持ち主だった)、横山操、浮田克躬、池田龍雄岡部昌生等々、見応えがあり、写真は土門拳奈良原一高、佐藤時啓まである。しかし何と言っても圧巻は炭坑の仕事や炭坑夫の日常を描いたイラスト(マンガ)だ。坑内では石炭を積んだトロッコを坑夫や坑婦が上半身裸で引っ張り上げている。日本刀を振りかざした喧嘩や、リンチで拷問をしている絵もある。土門拳が撮った炭坑から出てきた坑夫の顔は真っ黒だ。炭坑の労働がこんなにも過酷なものだったとはうかつにも知らなかった。
 企画した正木基学芸員に敬意を表したい。すばらしい企画だった。