企業の設計思想の違い

 面白い話を聞いた。F通は元々スーパーコンピュータの開発を行ってきた会社。スーパーコンピュータは受注生産で製品を発注した顧客と1対1で向き合う。製品のバラツキは絶対に許されない。不具合のない完全な製品をつくることが要請されている。それが企業の体質になっている。それに対してコンシューマー(一般消費者)向きの製品を作っている家電メーカーは、1,000点に1点くらいの不具合があっても構わないとする。その場合は取り替えれば良い。製品の完全さを追求するより、たまに発生する製品の不具合に対して無料で交換する方がコストがかからないと考えているのだ。
 ところが大型のモーターなど重電機を作ってきた日立ともなると、筐体に対する設計思想が全く違っていて、他社では考えられないような頑丈な筐体を作っている。似たように見える家電製品でも設計思想の違いから隠れたところにいろいろ違いがあるらしい。
 以前オーディオ製品をソニーで揃えていたが、10万円近いカセットデッキを買った折り、テープの送りに不具合があった。2度修理を依頼したが、なかなか改善できなかったとき、販売店からの提案で簡単に別の製品に交換してくれた。そういうことだったのか。