ギャラリーなつかの金沢健一展を見る

 東京京橋のギャラリーなつか及びクロスビューアーツで金沢健一展「層―格子」が開かれている(1月27日まで)。金沢健一は1956年東京都生まれ、1979年に東京藝術大学美術学部工芸科鍛金専攻を卒業し、1981年同大学大学院美術研究科を修了している。多くの画廊などで発表しているが、最近は居住する川越市立美術館で個展を繰り返してきた。ギャラリーなつかでの個展は5年ぶりになる。



 金澤は長く不定形に溶断した鉄板に炭酸カルシウムを載せ、鉄板をバチで叩いてその振動によって炭酸カルシウムが有機的な図形を作る作品、パフォーマンスなどをしてきた。

 今回は工業製品として規格化されたアルミニウムの角パイプを加工して作品を作っている。金沢によると、こちらが最初から長くやってきた仕事だという。

 素晴らしい展示だった。20mm角のパイプを格子状の層に組んだ作品。基本形から縦軸と横軸をずらすこと、それを裏側から穴を開けてねじ止めする。作品を表から見ると滑らかで、裏から見ると黒いねじ穴が見える。同じ形の作品を作り、表を出したり裏を出したりしてセットにしている。

 そんなミニマル風の作品がとても美しい。アルミの角パイプという単純な形でありながら、アルミの表面が照明を反射し、また影とも相まって複雑な表情を作っている。造形の完成度、光と影の複雑な表情、みごとな作品だと思う。

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金沢健一展「層―格子」

2024年1月13日(月)―1月27日(土)

11:00-18:30(土曜日17:00まで)日曜休廊

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ギャラリーなつか&クロスビューアーツ

東京都中央区京橋3-4-2 フォーチュンビル1F

電話03-6265-1889

http://gnatsuka.com/