局所ジストニアのレオン・フライシャー

 世界的に著名なピアニスト、レオン・フライシャーはある時突然局所ジストニアが発病する。ピアニストでありながら右手の自由が奪われる。もう演奏ができなくなる。彼は教育の場に活動を移した。しかし練習は続けていたという。35年後病気から回復する。完全に回復したわけではないと言っていたが。先週NHK教育テレビで日本でのリサイタルが放送された。
 番組の始めに横浜市大病院の酒井直隆さんというお医者さんが出演してアナウンサーの質問に答えていた。ジストニアには全身性のものと局所性のものがあり、音楽家では演奏中にのみ手が勝手に動いてしまう局所性ジストニアが発病すると解説していた。治療法には3つあり、1.ボツリヌス毒素の注射、2.リハビリ、3.脳外科手術、という。ボツリヌス毒素は万人に効くものではなく、効力も3ヵ月しか続かない。しかも日本ではまだ認可されていない。この先生はリハビリを勧めている。ゆっくり演奏した場合には症状が現れないので、徐々に速くしていけば改善されるという。脳外科手術については何て言ってたっけ。
 私もこの局所ジストニアにかかっている。そのことは以前「手は期待する」(2007年1月10日)で書いた。万年筆で字を書いた時にのみ発症し、右手の人差し指が強い力で内側へ曲がってしまい、文字が乱れた形でしか書けないのだ。今週も所沢市の航空公園にある防衛医科大学校病院へ治療に行くことになっている。
 さて、レオン・フライシャーはバッハの小品3曲と同じくバッハ作曲、ブラームス編曲の左手のための「シャコンヌ」、それにシューベルトのピアノ・ソナタ第21番変ロ長調D960を演奏した。シューベルトはいつも聴いているポリーニのCDと違い柔らかい演奏だった。
 そうかジストニアは治る可能性があるんだ。私も万年筆でゆっくりと書いてみたら何と発症しなかった!