平山郁夫死去、作品の価格はどうなるのだろう

 12月2日平山郁夫脳梗塞で亡くなった。1930年6月15日生まれだったから享年79歳。日本画の世界で極めて評価が高い画家だった。特に画商の評価が高かった。作品の値段は軽く億を超えただろう。
 このように作品の値段が高額の画家が亡くなるとどうなるのか。一般に画家が亡くなると作品の価格が上がると誤解されているようだが、実は下がるのだ。なぜ下がるのだろう。以下は私の推測だ。有名な特に日本画家と直接取引できる画商は限られている。そのプライマリー画商と取引できる2次画商も限られている。彼ら少数の画商はいわばカルテルを結ぶ。新作の値段を協定するのだ。価格は高額で維持される。たとえばH山の新作がほしいコレクターは懇意の画商やデパートに依頼する。懇意の画商やデパートは2次画商に依頼しなければならない。2次画商はプライマリー画商からH山の作品を購入する。H山の作品は高額で売買されることになる。
 ところが画家が亡くなるとどうなるのか。もう新作は供給されない。作品はすでに市場に出回っているものに限られる。市場に出回っているものの価格に対してはプライマリー画商も2次画商もそれをコントロールすることはできない。すると当然ながら亡くなった画家の作品の価格は市場の需要と供給によって決められることになる。まず間違いなく高額で取引されていた画家の作品の価格は亡くなると同時に下がることになる。
 平山郁夫の評価は(作品に対しても価格に対しても)現在が最高だろう。その人柄や人格が讃えられている。しかし作品の価値は人柄とは何の関係もないのだ。