食の砂漠

 朝日新聞の書評に興味深いことが書かれていた。ベストセラーの山本千尋「バンド1本でやせる! 巻くだけダイエット」(玄冬舎)に関するものだ。評者は佐々木俊尚

 フードデザート(食の砂漠)という言葉がある。都市環境の変化と格差社会進行によって、生鮮食料品が安価に購入できる店が極端に減ってしまった地域のことだ。70年代ごろからアメリカやイギリスで問題になり、そしてこの「砂漠」にはジャンクフードがなだれ込み、結果として肥満社会を生み出している。アメリカに行くと、スーパーの野菜売り場が小さく、冷凍食品とスナック菓子が巨大な面積を占めているのに驚かされる。肥満で悩む人たちがダイエットに挑戦するテレビ番組では、参加者全員が「記憶のある限り、新鮮な野菜を食べたことがない」と答えた、という報道もあった。

 娘が言う。父さん、これ父さんに関係ないことじゃないからね。私が引っ越してもちゃんと野菜を食べるんだよ。大丈夫、分かってるよ。本当かなあ、タンパク質の倍は野菜を食べるんだよ。うん、そうするよ。