2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧
大崎のO美術館で「第10回 座の会展 座2021」が開かれている(9月2日まで)。2012年に第1回展が開かれた座の会展も今回で10回を迎えた。基本、日本画家の会であったが、漆芸作家もの加わり、狭い意味の日本画にこだわらない作家も参加している。ここでは主…
ニューズウィークが中国の衛星が3月に軌道上で突然分解した理由がわかったと報じている。 https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/08/post-96988.php 2019年9月25日に酒泉衛星発射センターから打ち上げられ、高度760〜787キロの軌道を周回していた…
東京外苑前のトキ・アートスペースで瀬戸理恵子作品展「濾過装置としてのリエコの身体」が開かれている(9月5日まで)。瀬戸は広島市生まれ、武蔵野美術大学油絵学科を卒業し、その後広島大学大学院美術教育専攻を修了している。1995年渡米、1997年ペンシ…
昨日紹介した村上春樹『女のいない男たち』(文春文庫)に書き忘れたことがあったので補足する。中に収められた短篇「独立器官」は、有能な整形外科医が失恋して食べ物を拒絶して衰弱死するという話だが、これの元ネタではないかと考えたのが野見山暁治の紹…
先日映画『ドライブ・マイ・カー』を見たので、原作にあたる『女のいない男たち』(文春文庫)を4年ぶりに読み直した。ほとんど忘れていたが、「イエスタデイ」の栗谷えりかとの再会や、「シェエラザード」の空き巣のエピソード、また「木野」は全体によく憶…
DM葉書 東京日本橋小伝馬町のJinenギャラリーで諸橋杢子展が開かれている(8月29日まで)。諸橋は2017年から毎年櫻木画廊で個展を開いてきて、今回初めてJinenギャラリーでの個展開催となる。 諸橋はリアルな木の葉の立体作品を作っている。色彩もごく自然…
ちらし 東京銀座の藍画廊で「往復書簡Vol.4」が開かれている(8月28日まで)。伊藤ちさとと坂本美果の二人展で、東京造形大学の近藤昌美教授が企画している。伊藤は1984年宮城県生まれ、2009年に東京造形大学を卒業している。坂本は1999年山梨県生まれ、現…
小島庸平『サラ金の歴史』(中公新書)を読む。新聞の新刊広告を見ても興味が湧かなかったのに、中央公論社販売部のTwitterにPOPが載っていて俄然読む気になった。 これは新書史に名を残す傑作だ! 読んで後悔はさせません。 僕はサラ金を責められない 本書…
作家の高橋三千綱が先週8月17日に亡くなった。肝硬変と食道がんで、73歳だった。3年前に高橋の『作家がガンになって試みたこと』(岩波書店)を読んでここに紹介し、昨年11月、高橋のその後が岩波の雑誌『図書』に連載されたのと併せて再録した。それが「…
先日のギャラリー川船の入札会で尾藤敏彦の作品を落札した。落札したあとで調べたら、尾藤豊と間違えて落札してしまったことが分かった。尾藤敏彦は人人会の会員で、生身の人間から型を取って金属の立体を制作している。 尾藤敏彦 私が間違えた尾藤豊はルポ…
濱口竜介監督の映画『ドライブ・マイ・カー』を観る。映画を封切の初日に見たのは初めてのことだった。TOHOシネマズ錦糸町オリナスの8つある一番客席の少ないNo.8スクリーンで、観客は半分も入っていなかったと思う。 原作が村上春樹の短篇集『女のいない男…
多田蔵人 編『荷風追想』(岩波文庫)を読む。59人もの作家や編集者、芝居関係者、その他交際のあった者たちが書いている。さすがにこんなに大勢が書いていると、文の巧拙が目についてしまう。やはり群を抜いて優れているのは幸田文だ。他の文章と全然違って…
東武亀戸線の線路わきに赤い小型の花が咲いている。近づいて見るとマルバルコウだった。マルバルコウはヒルガオ科の帰化植物、トウモロコシ畑の雑草として問題になっているという。 マルバルコウについて、『日本帰化植物写真図鑑』(全国農村教育協会)から…
司馬遼太郎『この国のかたち 五』(文春文庫)を読む。雑誌『文藝春秋』の1994年から1995年の巻頭言として連載されたもの。本書では特に神道について7回も書き継いでいる。 ここで言っておかなければならないが、古神道には、神から現世の利をねだるという現…
都会の街路樹にプラタナスが植えられていることが多い。現在そのプラタナスにプラタナスグンバイが大発生している。おそらく40年くらい前から日本に侵入した侵入害虫だ。樹によってはすべての葉にびっしりと寄生しているが、昔問題になったアメリカシロヒト…
永井荷風『鴎外先生』(中公文庫)を読む。副題が「荷風随筆集」、3分の1強が鴎外について書かれている。荷風は鴎外を尊敬し師と仰いでいる。こんなことを書いているほど。 文学者になろうと思ったら大学などに入る必要はない。鴎外全集と辞書の言海とを毎日…
渡辺信一郎『中華の成立』(岩波新書)を読む。シリーズ「中国の歴史」の1巻目。この巻は「東アジアの文明が黎明を迎え、多元性が顕在化する過程を書」いている(シリーズ 中国の歴史のねらいより)。 今までの中国史の書き方と異なり、王朝区分で叙述するこ…
最近はコロナ禍で皆マスクを付けている。顔の下半分が隠されて、親しい人でもないと見わけがつかない。きれいな女性がいてもそれが分からない。ちょっと美人に不利な時代かもしれない。 ここにamazon prime videoの広告がある。モデルは河合優実というきれい…
昨日8月12日は中上健次の命日だった。中上は29年前、46歳の若さで亡くなった。生きていれば大江健三郎の次の世代の日本を代表する作家と言われたろう。12年前、仕事で新宮市へ行った折り、中上の墓を訪ねたのだった。 墓は小ぶりながら上品なものだった。線…
ベランダのガジュマルにガジュマルクダアザミウマが寄生している。その成長の姿を追ってみた。 7月26日 7月26日 新葉に2頭のつがいがいる。おそらく雄と雌なのだろう。 7月27日 7月27日 7月27日 翌日、新葉は両端が閉じられつつあった。 7月28日 7月2…
司馬遼太郎『この国のかたち 四』(文春文庫)を読む。1992年から1993年の2年間『文藝春秋』に連載した巻頭言をまとめたもの。単行本は26年前に出たものだが内容は古びていない。 この巻頭言は時事的なものではなく、日本の歴史、文化を毎回原稿用紙10枚ほど…
阿川弘之『鮨 そのほか』(新潮文庫)を読む。これは6年前に一度読んでいるが、吉行淳之介を偲ぶ座談会「わが友 吉行淳之介」を読み直したくて再び手に取った。座談会は阿川のほか、遠藤周作、小島信夫、庄野潤三、三浦朱門が参加している。みな古い友人たち…
篠原信さんのツイートが子供の学習に本当に役立ちそう。 今の子どもは人工知能より読解力がない、と警鐘鳴らされてるけど、もう少し丁寧に考える必要がある。 私が塾を主宰していた時でも、公立中学で偏差値55以下だと「音読み」の熟語に反応できていなかっ…
袖壁 もう25年ほど前になるが、いまでも印象的で記憶に残っている光景がある。営業に出ていて昼になったので会社へ帰ろうと駅に向かって歩いていた。神田にあった秋山画廊の近くだったと思う。一軒の民家の玄関脇の、袖壁というのだろうか、1メートル角くら…
東京都現代美術館では、前回個展として展示したマーク・マンダースの彫刻を、「MOTコレクション」の一部として、「マーク・マンダース 保管と展示」と題して再展示している。マーク・マンダースはブロンズの大きな作品が多い。その中にあって、壁面に小さな…
届いたばかりの東大出版会のPR誌『UP』を流し読みしていた。多田蔵人が「東京大学南原繁記念出版賞を受賞して」5「『永井荷風』との距離」というエッセイを寄せている。多田はその『永井荷風』(東京大学出版会)でこの賞を受賞している。東大出版会の惹句…
吉行淳之介『恐怖・恐怖対談』と『恐・恐・恐怖対談』(どちらも新潮文庫)を読む。まず『恐怖・恐怖対談』はあまり面白くなかった。 斎藤茂太と脳梅毒について語る。 斎藤 脳梅毒についてもう一つだけ申し上げると、戦後に、精神医学治療史に残るような大成…
『本の雑誌 7月号』は「特集 笑って許して誤植ザ・ワールド」という誤植特集だ。 編集者たちが様々な誤植、校正ミスの失敗談を披歴している。情報誌の会社に入った安藤さんは入社1年目、大相撲のチケット発売で特別電話予約の番号をミスしてしまう。印刷所の…
吉行淳之介・開高健『対談 美酒について』(新潮文庫)を読む。とても評判の良い対談なので期待して読んだが、意外とそんなでもなかった。開高が先輩吉行に対して肩ひじ張っている感があって、そのせいじゃないだろうか。 「銀流し」という言葉も「テンプラ…
吉行淳之介『恐怖対談』(新潮社)を読む。12年間にわたって『別冊小説新潮』誌上で行われた40回の「恐怖対談」シリーズの第1巻。面白かったエピソードをいくつか抜き書きする。 生まれ月と性格について淀川長治が説く。 淀川 あのね、7、8、9月生まれは親…