東京都現代美術館では、前回個展として展示したマーク・マンダースの彫刻を、「MOTコレクション」の一部として、「マーク・マンダース 保管と展示」と題して再展示している。マーク・マンダースはブロンズの大きな作品が多い。その中にあって、壁面に小さな作品が設置されていて、あれ、これもマーク・マンダースなんだと驚かされる。
「短く悲しい思考」と題されていて、制作年は1990年、真鍮と釘で作られていて2点組、22.0×3.0cmという小ささだ。
これを見て吉田哲也を思い出した。1999年に同じこの東京都現代美術館で開催された「MOTアニュアル1999 ひそやかなラディカリズム」に吉田哲也も選ばれて1室を与えられた。壁面には小さな小さな針金と釘で作られた作品が設置されていた。制作年は1998年、「Untitled」と題されて、1.6×0.4cm(1.5cmや1.7cmのもある)という小ささ。
また吉田哲也没後の2011年に多摩美術大学美術館で開かれた若林砂絵子との2人展「表現する葦」にも1997年制作の針金と釘の作品が展示された。「Untitled」と題され、3.4×8.9cm前後のやはり小さなものだ。
針金を曲げただけの形を釘に引っ掛けている。マーク・マンダースと吉田哲也の作品はそっくりだと言えるだろう。しかし、お互いに相手の存在も作品も知らなかったに違いない。単純な形だから、互いに無関係に似ていった進化論でいう収斂進化という概念に近いのではないか。
マーク・マンダースを見て、久しぶりに吉田哲也を思い出した。またそろそろどこかの美術館が吉田哲也を取り上げてくれないだろうか。
https://mmpolo.hatenadiary.com/entry/2021/07/23/203643
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「MOTコレクション」
2021年7月17日(土)―10月17日(日)
10:00-18:00(月曜休館)
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ハローダイヤル050-5541-8600