東京都現代美術館のユージーン・スタジオ展を見る

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展覧会ちらし



 東京都現代美術館でユージーン・スタジオ展「新しい海」が開かれている(2月23日まで)。ユージーンは1989年アメリカ生まれの寒川裕人によるアーティストスタジオとのこと。ヒロヒトと読ませたくないのかな。

 最初に「群像」という白い大きなキャンバスが展示されている。100人もの人のキスの痕だという。内藤礼の白いキャンバス作品を思い出した。面白くない。

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 次いで大きな室内プールが出来ている。「海庭」と題されている。膨大な水の量だ。美術館の室内に大きなプールを作ったという驚き。しかし、過去の同じような作品を思い出した。1970年の7月にときわ画廊で田島廉仁が画廊にビニールを張って、45cmの深さに水を貯める個展を企画した。日曜日から水道の水を流し始めたが、月曜日にビルの管理者から地下の機械室に流れ込む恐れがあると中止させられた。そのことは、『ときわ画廊 1964−1998』(三上豊=発行)に書かれている。

 そんなことはユージーンが知らないのは当たり前だというかもしれない。50年前にサルトルが来日した折り、講演でもう小説は不可能だと言った。社会的なことはマルクスが、心理的なことはフロイトが語っている、と。質問者が、それらのことを知らないアフリカの作家にとってはどうかと尋ねた。サルトルはひと言、それは単なる無智に過ぎないと言い放った。

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 「善悪の荒野」という作品は面白かった。これは以前資生堂ギャラリーで見ている。キューブリックの映画「2001年宇宙の旅」の終盤に現れる部屋を原寸大で再現している。部屋の調度が破壊され焼き払われている。

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 「レインボーペインティング」は無数の点描からなる油彩画。これまた少しも面白くなかった。

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 私には評価できなかったが、若い人に人気があるらしく、土日は混むので撮影禁止となっていた。

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ユージーン・スタジオ展「新しい海」

2021年11月20日(土)―2022年2月23日(水)

10:00-18:00、月曜休館

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東京都現代美術館

東京都江東区三好4-1-1

ハローダイヤル0050-5541-8600

http://www.mot-art-museum.jp