東京銀座の藍画廊で「往復書簡Vol.4」が開かれている(8月28日まで)。伊藤ちさとと坂本美果の二人展で、東京造形大学の近藤昌美教授が企画している。伊藤は1984年宮城県生まれ、2009年に東京造形大学を卒業している。坂本は1999年山梨県生まれ、現在東京造形大学美術学科絵画専攻4年に在学中だ。
企画の主旨について、近藤は、
今年度の「往復書簡」展の企画は卒業後10年ほど制作発表を丁寧に行なって来ている伊藤ちさとさんと学部4年の坂本美果さんにお願いした。
年齢差もそれなりにあるが、本店の企画意図はこれから社会に出る在校生とすでに卒業後画家として活動を何年も継続している卒業生画家との作品を巡る文通がまずあってのことで、今年の二人の組み合わせもその主旨に適ったものだ。(後略)
画廊で配布している二人の「往復書簡」を読むと、卒業してからの制作場所や作品の保管場所、いろいろ悩みも多そうだ。そこに坂本が書いている。「シェアアトリエを借りてフリーターをしながら制作するというのが理想ですが、経済面の不安がとても大きいです」と。それに対して伊藤が答える。「ギャラリーに所属したり売れている作家さんは羨ましいし憧れや目標になりますが、早い段階で評価されるとそこから動きづらくなる面もあると思うんです。/絵も生活も自由に変われる身軽さがあったから、今も描けている部分もあります」と。
私には坂本美果の作品が面白かった。坂本は風景に触発されたような画面にちょっとマンガっぽいイラストみたいな図像を挿入している。そのことも面白いし、色彩が優れていると思う。「湯の国」と題された作品は温泉を描いているのだろうか。画面の溶けるような色彩表現が魅力的だった。
坂本美果
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「往復書簡Vol.4」
2021年8月23日(月)―8月28日(土)
11:30-19:00(最終日18:00まで)
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藍画廊
東京都中央区銀座1-5-2 西勢ビル2階
電話03-3567-8777