田中祐理子『アラン』を読む

 田中祐理子『アラン』(ちくま新書)を読む。アランはフランスの哲学者、モラリスト。『幸福論』は広く読まれてきた。私も若い頃読んだ記憶がある。

 アラン(本名エミール・シャルティエ)は高等師範学校でのちにフランス首相となるレオン・ブルムと同時期に学び、アランが教師となって後は、カンギレムやサルトル、ポール・ニザン、レイモン・アロン、またシモーヌ・ヴェイユらを教えた。

 アランは哲学の大著ではなく、プロポと呼ぶ哲学断片を書き続けた。第1次大戦が勃発した時にはアランは40代後半だったにも関わらず志願兵として重砲兵隊への入隊を選んだ。しかし2年後足を負傷して前線を離脱した。

 アランのプロポは戦争ではなく話し合いを望む穏健なもので、対ドイツ戦争を回避しようと働きかけ続けた。

 誠実な哲学者だったのだろう。田中祐理子によると、日本語はフランス語に次いで、数多くのアランの作品を読むことができる言語とのことだ。だがその穏健で誠実な哲学に対して、改めて読み直そうとの魅力を感じることはできなかった。アランに対してサルトルがどう語っているのか知りたいと思う。ChatGPTによると、サルトル『哲学論文集』所収の「情緒論素描」にアランについて触れられているとあるので、今度読んでみよう。