伊藤邦武『物語 哲学の歴史』(中公新書)を読む。新書という小冊子で哲学史を紹介するという難しい仕事を試している。結果的にそれは成功している。
古代・中世の哲学から、近代の哲学=意識の哲学はデカルトから経験論とカントが語られ、20世紀哲学=言語の哲学として、論理学、分析哲学、論理実証主義が比較的詳しく語られる。著者伊藤邦武はプラグマティズムの専門家なのだ。だが、最後の第4章は生命の哲学と題して、ジェイムズとベルグソンに次いで、ハイデッガー、サルトル、メルロー=ポンティとドゥルーズが取り上げられる。
言語の哲学あたりは難解で、読んでいてちょっとめげそうになったが、ハイデッガー~サルトル~メルロー=ポンティ~あたりは比較的親しみ深い世界で分かりやすかった。ドゥルーズはまだ読んだことがないので分からない。
こんな小冊子でヨーロッパ哲学が簡単に学べるのは、分析哲学~論理実証主義に偏っているとはいえ、とてもありがたい。12年前に買っていてようやく読んだのだった。