東京銀座のコバヤシ画廊で荻原正人展が開かれている(3月23日まで)。荻原は1953年東京生まれ、1979年東京芸術大学鋳金科を卒業し、1981年同大学大学院を修了している。
今回の展示は3面の壁に同一の大きさの黒い平面が規則正しく並べられている。右側の壁面が2021年、正面が2022年、左側が2023年の新聞だという。それぞれ3月11日から4月9日までの30日間の朝日新聞の第1面を塗ったもの。上部の欄外の日付と、3.11に関する写真だけを除いて黒く塗りつぶしている。使っている鉛筆はドイツ製の9Bとのこと。すると3.11に関する写真だけが塗り残される。この3年間の3月11日から30日間に、朝日新聞の第1面に取り上げられた3.11に関する写真の量が一目瞭然に分かる。それがどんなに少ないかが分かる。荻原はこの作業を震災の当日の新聞から行ってきた。
3.11から13年が経っている。年々当時への言及が減ってきているのがよく分かる。荻原はその事実をこんな展示で決して声高でなく告発している。優れた個展である、
なお、空白の日は新聞休刊日とのこと。
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荻原正人展
2024年3月18日(月)―3月23日(土)
11:30-19:00(最終日17:00まで)
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コバヤシ画廊
東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビルB1F
電話03-3561-0515
http://www.gallerykobayashi.jp/