ギャルリー東京ユマニテの木村太陽展を見る

 東京京橋のギャルリー東京ユマニテで木村太陽展「ペインティング&立体」が開かれている(7月22日まで)。ギャラリーのホームページから、

木村は1970年生まれ。創形美術学校研究科卒業後から間もなく作品を発表し、2000年以降はドイツ、アメリカ(ニューヨーク)を拠点にヨーロッパ、アメリカなど国内外で活躍。何気ない日常の中で出会う些細な違和感や、存在意識の中に隠れる感覚を独自のユニークな手法で作品に構築していきます。
可愛らしい白クマのぬいぐるみから聞こえる怪しげな笑い声、整然と並んだ牛乳パックの中には満員電車さながらの人たち、ページをめくったファッション誌からはおびただしい女性の視線など、木村は当初から立体、インスタレーション、映像と多様なメディアを駆使して発表してきました。一見、シュールでブラックユーモアのような印象を受けるその表現からは、知らず知らずのうちに身体の隅々にこびり付いた習慣や感覚が表出され、拒否反応とともに見るものの深層心理をあぶり出します。

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 木村の個展を初めてみたのは、このギャルリー東京ユマニテの前の前に同じこの場所で営業していたギャラリー山口だった。また小山登美夫ギャラリーで木村のビデオを販売していたこともあった。たくさんのトランジスタラジオから伸びている何十個ものイヤホンを口いっぱいに頬張って電話したり、カレーライスで顔を洗ったりしていた。数年前に小林画廊のグループ展に参加したときは、シュレディンガーの猫と題する作品を出品していた。引出を開けるとパチンコ玉が猫の顔になったり、次はバラバラになったりする高度なユーモアを表わしたオブジェだった。
 今回もガスマスクから無数の小さな棺桶が吐き出されている立体や、くるくる回っている碗状の入れ物に錠剤に見立てた丸い球が水面に浮かんでいる。現代の薬漬けの風潮を批判したもののようだ。ブラックユーモアと鋭い批判、遊び心たっぷりの魅力的な作家なのだ。
 ネットで見て済ますのではなく、直接ギャラリーへ足を運んで実物を見てほしいと木村は言う。会期が長いのでぜひ会場へ行ってみられることをお勧めする。
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・ncaで木村太陽展が始まった(2012年9月20日
https://mmpolo.hatenadiary.com/entry/20120902/1346563607

・おかしなおかしな木村太陽展(2009年1月22日)
https://mmpolo.hatenadiary.com/entry/20090122/1232554520

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木村太陽展「ペインティング&立体」
2020年7月2日(木)-7月22日(水)
10:30-18:30(日曜日休廊)
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ギャルリー東京ユマニテ
東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビル1F
電話03-3562-1305
https://g-tokyohumanite.com
警察博物館LIXILビルの間を入った右手