養老孟司・池田清彦・奥本大三郎『虫捕る子だけが生き残る』を読む

 養老孟司池田清彦奥本大三郎『虫捕る子だけが生き残る』(小学館101新書)を読む。養老は解剖学者、池田は生物学者、奥本はフランス文学者、いずれも専門は違うが3人とも昆虫採集がプロ並みの「虫好き」の人たち。特に大きなテーマは設けないで昆虫採集について語っている。

 昆虫の種類が変わってきているという。以前は普通に観られた種類がほとんど見られなくなったり、珍しかった種類が簡単に採集できるようになったり。ナガサキアゲハツマグロヒョウモンやテングチョウが増えてきているという。そういわれれば我が家のベランダのスミレに毎年ツマグロヒョウモンが寄生するようになった。

養老孟司  人口が増えると、人間は自然を変えざるをえなくなるんだな。

池田清彦  だからほんと、人間を減らすしかないんですよ。20世紀初めに地球全体で16億5千万だった人口は、そろそろ68億に届こうかという勢いで増加している。人口が増えれば、その分だけ自然に対する圧迫も増していきます。人間も虫と同じように、自然の生態系の一部なんだし、そろそろ人間を減らすことも考えないといけないんじゃないか。

養老  生態系の頂上だけがでかくなっているからね。自然環境を大きく変更しないで持続可能な人口を考えると、日本はもう限界ですよ。

奥本大三郎  日本は少子化ってことで騒いでいるけど、人口を減少させるという意味では日本人は模範生です。

池田  持続可能な人口になるまで人口を減少させるシステムをうまくつくれたら、環境問題なんてあっという間に解決しますよ。

 

 しかし、全体に「虫好き」な学者たちの雑談という印象だった。これは人選が悪いと思う。3人とも高レベルな昆虫愛好家ばかりだから、ツーカーで伝わってしまう。誰も他の人の発言に異論や疑問を唱えないので、話が深まらない。中にひとり素人を入れておけば、その素人が疑問を口にし、そこから専門家たちが深掘りしてくれるのに。