中川毅『人類と気候の10万年史』を読む

 中川毅『人類と気候の10万年史』(講談社ブルーバックス)を読む。福井県水月湖は「世界一正確な年代が分かる堆積物」が得られる湖だという。縞になった堆積物を年縞と呼び、水月湖の年縞は45メートルの厚さを持ち、それは7万年以上もの時間をカバーしている。その年縞を分析することにより、地球の7万年間の気候が明らかにされる。

 その年縞を採取する技術や、その年代を裏付ける方法などが詳しく紹介される。それがとても興味深いものだが、それらの結果から再現される過去の気候が驚くべきもので、その激動の気候史を人類がどのように生き抜いたかが語られる。

 現在の安定な時代がいつまで続くのか、いつ氷期が起こるのかは予測不可能だという。本来すでに氷期になっているはずなのに、それが遅れているのはなぜか? 遅らせているのは人類の活動が影響しているのではないか。もし大干ばつが来たら、農業は大打撃を受けるだろう。

 著者はこう書く。

 私たちはすでに、農耕と近代科学を前提とした人口を抱え込んでしまっている。このことを裏返すと、もし私たちが狩猟採集に戻らざるをえないとすれば、生き残れるのは1000人あるいは1万人に1人であるということを意味する。人類が遭遇する可能性のある災害としては、間違いなく最大級のものに違いない。

 

 「生き残れるのは1000人あるいは1万人に1人」とは、東京都で生き残れるのはわずか1万人ないし1000人ということだ。著者は婉曲に書いているが、おそらくその可能性を疑ってはいないような印象を受ける。大変恐ろしい警告の書だと思う。