先日塚本邦雄『秀吟百趣』を読んで、塚本の短歌や俳句の理解、解釈の深さに圧倒された。
・塚本邦雄『秀吟百趣』に圧倒される(2014年12月1日)
そして以前読んだ丸谷才一『後鳥羽院 第二版』を思い出した。丸谷の王朝和歌に対する理解の深さにも圧倒されたものだった。
・丸谷才一『後鳥羽院 第二版』を読んで(2013年7月20日)
しかし、塚本を読んだ後では、塚本が丸谷をどう評価していたか、何となく想像がつく気がする。日本政治思想史の大家、丸山真男の優れた業績である『日本政治思想史研究』に対して、中国文学者の吉川幸次郎が評したという言葉「お素人さんとしては、なかなか」を思い出す。
『日本政治思想史研究』については、Wikipediaで次のように書かれている。
『日本政治思想史研究』は、ヘーゲルやフランツ・ボルケナウらの研究を日本近世に応用し、「自然」-「作為」のカテゴリーを用いて儒教思想(朱子学)から荻生徂徠・本居宣長らの「近代的思惟」が育ってきた過程を描いたものである。
丸山は荻生徂徠の漢文を読解して本書を執筆している。中国文学者から見れば、政治思想史が専門の学者が漢文の文献を資料に執筆したことに対して、半ば揶揄するような評価をしたのだろう。
その吉川幸次郎は岩波新書で『新唐詩選』を書いたときに、詩人の三好達治との共著という形を取った。三好が亡くなった後で出した『新唐詩選 続編』は桑原武夫との共著となっている。この続編はまだ読んでいないが、吉川幸次郎ほどの碩学でも、詩の解釈では詩人三好達治の手を借りたということだろうか。
狐拳を思い出す。猟師は狐に勝ち、狐は庄屋に勝ち、庄屋は猟師に勝つというあの遊びを。
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