ガルリSOLの松尾玲央奈の立体作品がおもしろい


 東京銀座のガルリSOLで松尾玲央奈展が開かれている(12月6日まで)。松尾は1984年福岡県生まれ、一昨年女子美術大学大学院博士後期課程を修了した。ガルリSOLでは女子美術大学を卒業した2007年の初個展から今回で7回目になる。

 松尾はいつも金属を使って一見機械のような作品を作っている。一つは円柱状の金属パイプを4本平行に並べて、中央を金具様のもので固定して壁に留めている。円柱状のパイプは右がブルー、左がピンクに着色されている。

 もう一つも壁に留められているが、先の作品が円柱だったのに対して、こちらは断面が六角形の大きな管状のものというか、六角レンチを巨大にしたようなものが9本固定されている。先の金属パイプとは違って、壁からの距離が一定ではなく、いわば凹凸がある。また、みな左右の長さは同じようだが、右が白く左が黒く、白黒の比率は同一ではなくあるリズムを持っている。

 3つ目の作品は床に設置されており、4つのユニットが合成されているように見える。何かエンジンなど動力系の機械に見られるような形体をしている。ビスがきれいに留められていて、いっそう機械っぽい。
 いずれも何か機能を持った機械の一部に見えるが、松尾の作品はいつも徹底して無機能なのだ。ある意味、機械の擬態ともいえる。以前、松尾の口からジャッドが好きだと聞いて驚いたことがあったが、なるほど壁に設置されたパイプ状の作品とか、たしかにジャッドと共通するものが感じられる。いわばジャッドを少しソフィスティケートしたような。しかし、ジャッドといえばミニマル・アートだ。しかし松尾はミニマルではない。なぜなら無機能に徹しているが、同時に機能へのオマージュが色濃く感じられるのだ。まさに機能=機械への擬態だ。あまり類似するものが思い当たらない。地味ではあるが貴重な作家だと思う。
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松尾玲央奈
2014年12月1日(月)〜12月6日(土)
11:00〜19:00(最終日17:00まで)
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ガルリSOL
東京都中央区銀座1-5-2 西勢ビル6F
電話03-6228-6050
http://www005.upp.so-net.ne.jp/SOL/