東京銀座のギャルリー志門で作宮隆展「−ハナスミ−」が開かれている(7月5日まで)。これがとても興味深い。
作宮は1954年、石川県金沢市生まれ。1978年に金沢美術工芸大学商業デザイン科を卒業している。卒業後、日本デザインセンターや第一企画など一流広告会社でデザインやテレビCFを制作しつつ、造形作家として活躍している。2004年から「花炭」素材を使った作品を発表してきた。今回の個展もその技法で制作されている。
個展は、コバヤシ画廊、ギャラリー山口、Gアートギャラリー、ギャルリーヴィヴァン、K'sギャラリーなどたくさんの場所で発表してきた。
展示を見ると、作品はみな黒い。植物素材を焼いて炭化させて作っている。大きな額の中に100個を超えるオブジェが並べられている。白いインクで文字が書かれていて、これらが植物の実や葉、種などであることが分かる。カボチャやトウモロコシから始まって、ブロッコリーやツバキの葉などがある。蓮の実もある。いや大麦の穂やねこじゃらしの穂さえある。これらイネ科の穂には禾(のぎ)という細い糸のようなものが伸びている。それまで炭化させている! 何という高度な技術なんだろう。それらが、標本箱のように整然と配置されて美術作品になっている。側で見ている人が、「これは」と作品の近くにまで指さすのを見るだけで、触れると壊れてしまうとはらはらしてしまうほど、繊細で見事な出来栄えだ。
ほかに木を削って植物の実の鞘状にした形の中に、本物の実を入れて炭化させた作品や、生け花のような立体的な作品、それにドローイングが展示されている。
それらの繊細でみごとな造形技術にただ感嘆したのだった。
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作宮隆展「−ハナスミ−」
2014年6月30日(月)−7月5日(土)
11:00−19:00(最終日17:00まで)
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ギャルリー志門
東京都中央区銀座6-13-7 新保ビル3F
電話03-3541-2511
http://g-simon.com/