ギャルリー東京ユマニテの井上雅之展を見る

 東京京橋のギャルリー東京ユマニテで井上雅之展「雛形より」が開かれている(3月29日まで)。井上は1957年神戸市出身、1985年多摩美術大学大学院美術研究科修士課程修了。2017年第24回日本陶芸展大賞受賞。1980年代から陶を素材に立体作品の制作を試み、国内外の展覧会で発表。多くの美術館などに作品がコレクションされている。

 井上のコメントがギャラリーのホームページに掲載されている。

昨年の小作品での個展を終え、習作としてのマケットを受けての制作に新たな造型への手掛かりを得ました。今回の作品はパーツの組み合わせではなく、窯の大きさの制限を受け止めての一塊での制作としました。これまでの板状の土による取り組みとは違い、システムを新たに組み直すことになり、素材との関係を手探りすることとなりました。マケット(雛形)を助けにした新たな関係に少々困惑し、幾度となく土を積み返し、焼き直しました。


 陶の大型の作品が並んでいる。それがどれも見事な造形なのだ。井上のコメントにもあるとおり、昨年の小品展は多彩な造形を示していた。しかし、それを陶で大きく制作することは簡単なことではないだろう。結果だけを画廊で見ると、やすやすと完成させたように見えてしまう。つまり造形に隙がなく必然的にこれらの形が制作されたように感じられるからだ。優れた到達だと思う。

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井上雅之展「雛形より」

2025年3月10日(月)-3月29日(土)

10:30-18:30(日曜祝日休廊)

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ギャルリー東京ユマニテ

東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビル1F

電話03-3562-1305

https://g-tokyohumanite.com