なびす画廊の瀧田亜子展、また少し変化した

 東京銀座一丁目のなびす画廊で瀧田亜子展が開かれている(11月30日まで)。瀧田は1972年東京都生まれ。なびす画廊での個展は今年の4月に続いて今回で15回目になる。最近は春秋と年に2回も個展を行っている。作品は紙に顔料で描いている。
 大きな作品が3点展示されている。左壁面の作品は、175 x 540cmの大きさで、ある意味従来の作品の延長上にある。抽象表現主義的な瀧田の世界だ。正面の壁面に展示されている作品は、140 x 560cmあり、赤褐色の帯が縦に7段、それが8列並んでいる。このようにはっきりした形が表れているのは新しい変化だ。一見ミニマル風だが、帯には微妙に表情がある。右の壁面には帯状というか掛け軸状の作品が吊り下げられている。180 x 74の帯が4本あり、4点で一つの作品となっている。これは一見モーリス・ルイスを連想させるが、縦に引かれた線状の色は流し込んでいるのではなく、筆で描かれている。その作品の一部をアップで撮影した。やはり滲みの効果がモーリス・ルイスの作品と通底している。




 瀧田は自分の世界を守りながら、決して自己模倣に陥ることなく、少しずつ変化させている。瀧田は昔から書を学び、そのため中国に留学してもいる。絵画に転じた後も、書を通して身につけた「線」を表現の核にして作品を作っている。書と西洋絵画を融合した瀧田の仕事は独特の世界を見せてくれる。毎年2回の個展という精力的な制作を今後も楽しみにしていきたい。
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瀧田亜子展
2013年11月25日(月)−11月30日(土)
11:30−19:00(土曜 17:00まで)
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なびす画廊
東京都中央区銀座1-5-2 ギンザファーストビル3F
電話03-3561-3544
http://www.nabis-g.com