LIXILギャラリーの磯野迪子展「LOOKING AT WINDOWS」が興味深い


 東京京橋のLIXILギャラリーの磯野迪子展「LOOKING AT WINDOWS」が興味深い(9月27日まで)。磯野は1981年東京生まれ、2004年にThe juilliard Schoolダンス科を卒業し、2010年に多摩美術大学工芸学科を卒業、2012年に東京藝術大学美術研究科先端芸術科修士課程を卒業している。
 今回の個展は映像作品で、遠景のマンションのベランダが延々と映し出されている。なぜか全くの無人で、ただ洗濯物が現れてはわずか数秒で消えていく。また新しい洗濯物が干され、すぐにまた消えていく。なんだかチェシャ猫のようだ。BGMにおそらくアルヴォ・ペルト作曲の「鏡の中の鏡」が流れている。いったいどのようにして撮ったのだろう。ギャラリーが発行しているカタログにそのことが書かれている。

−−なぜ「マンションの洗濯物」というモチーフを選んだのですか
磯野:私は自分をとりまく日常からインスピレーションを得て作品をつくることが多いんです。
私のアトリエは、4000人位が住む大きな団地の中にあります。
そこで毎日洗濯物が干される様子が、本当に活き活きとしていて、一種の感動を覚えました。
さらに、洗濯をし、外に干すという当たり前の事が毎日繰り返されることに淡々としかも朗らかなリズムを感じました。
作品の中では洗濯物だけが移り変わるのですが、これは見る人に想像する余韻が生まれるようにしたいと考えました。
−−どのように制作をするのですか
磯野:映像ではなく、写真から作っていきます。洗濯物を干していない状態をベースにするので、雨の日や早朝をねらって撮りにいきました。このマンション探し自体も結構大変でかなり歩きました。
洗濯物はほぼ毎日撮影に行き、ベースのマンションに合わせて、洗濯物を切り取って合成していくという仕組みです。作業としてはアニメーションと同じですね。

 動画ではなかった。そんなことを知ってから見ても十分不思議でおもしろかった。ペルトの音楽があつらえたように合っていた。
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磯野迪子展「LOOKING AT WINDOWS
2012年9月3日(月)〜9月27日(水)
10:00〜18:00(日曜・祝日休廊)
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LIXILギャラリー(元 INAXギャラリー
東京都中央区京橋3-6-18 LIXIL:GINZA 2F
電話03-5250-6530
http://www1.lixil.co.jp/gallery/