LIXILギャラリーの伊藤幸久展「あなたならできるわ」に驚いた

 東京京橋のLIXILギャラリーで伊藤幸久展「あなたならできるわ」が開かれている(4月12日まで)。伊藤は1981年東京都生まれ。2013年金沢美術工芸大学美術工芸研究科博士後期課程彫刻分野満期退学と画廊のパンフレットに書かれている。金沢市のギャラリーで個展をやっている他、2012年には東京都目黒区美術館区民ギャラリーでも個展をしている。
 写真で見るように彫刻作品なのだが、これがすべて陶で作られていると聞いて驚いてしまう。それも大きな作品でも2つから3つに分かれるくらいで、こんな複雑な形を陶で作っているのだ。牛乳を紙パックから飲んでいる作品は「口付けたくないけどコップ使うのはいや」と題されていて、高さ161cm、牛乳パックから口に流れ出して首まで伝っている牛乳は、あらかじめ牛乳パックの中に釉薬を入れておいて、焼いたときにその釉薬が流れ出したものだという。驚きの連続だった。



「口付けたくないけどコップ使うのはいや」
 これについて、伊藤がLIXILギャラリーの大橋恵美との対談で話していることを引用する。

「口付けたくないけどコップ使うのはいや」は悩みを抱えながらも自立して生きることを表しています。牛乳だけを飲んで生きている人がいるという話を聞いて、生きる象徴として牛乳を飲むポーズをつくりました。コップを使わずに飲む感じが、大雑把でもとりあえずやってみて考えようという姿勢を表しています。



「ライオンと飼育員」
 これについても、対談から引く。

自分の中に客観的と主観的に自分を見ている二人がいる。その距離がすごく近くて、この作品の二人の距離はそれを表しています。何をするかわからない本能的な自分とそれを理性的に制御しようとしながら、実はわりと放っておいてどうするのか見ている自分です。その関係が動物の飼育員とライオンの関係に似ているなと思いました。

 ほかにベッドからずり落ちても眠っている娘の「失楽園」という作品などがあった。
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伊藤幸久展「あなたならできるわ」
2014年2月28日(金)〜4月12日(土)
10:00〜18:00 水曜日休館
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LIXILギャラリー
東京都中央区京橋3-6-18 東京建物京橋ビル2階
電話03-5250-6530
http://www1.lixil.co.jp/gallery/
地下鉄銀座線京橋駅徒歩1分
(旧INAXギャラリー