日米の秘書の地位の違い

 日本では職業として秘書の地位は高いのに、アメリカではむしろ低いのだと聞いた。そんな風に日米でなぜ違うのだろうと疑問に思っていた。それが突然分かった気がした。私の知る限り、三井化学住友化学も、三菱化学三井物産、北興化学、クミアイ化学、日産化学もいずれの企業も部長に専属の秘書は付けていなかった。わずかに知る某銀行は重役に秘書が付いていたが、それでも平取締役は一人の秘書を何人かで使っていた。200人近くの部下を持つ部長ですら専属の秘書は持たされていないようだった。どうやら日本では秘書は重役に付くのが一般らしい。
 アメリカの秘書事情は知らないが、外資の日本法人のことは多少見聞きしてきた。あるアメリカの巨大企業の日本法人では課長職以上に秘書が付いていた。わずか数名の部下しか持たない課長でもだ。それはおそらくアメリカ本国のシステムを取り入れているのだろう。つまりアメリカの秘書職はむしろアシスタントなのだ。重役の補佐をする日本の秘書と違って、アメリカの秘書の地位がことさら高くないのは宜(むべ)なるかな。