先日銀座のマリオンの前を通りかかると、娘の親友のお母さんHさんが小雨の中で署名を集めていた。彼女は山口県の瀬戸内海に位置する祝島の出身で、この日は山口県上関町の長島に計画されている上関原発に反対の署名を訴えていた。
以前、銀座5丁目にあるフォルムギャラリーに松田正平展を見に行った折り、そこに上関原発反対のパンフレットが置いてあり、もらってきて読んだのだった。気まぐれ美術館の洲之内徹の高い評価を受けた松田正平は山口県の出身で、祝島が気に入っていて何度も滞在して絵を描いていた。
後日Hさんから上関原発に関する資料をお借りした。中国電力が多くの住民の反対を無視して、上関町の長島の田ノ浦に原発を計画しているものだ。田ノ浦は長島の南西端に位置し、長島の多くの住民たちにとっては裏山の後ろにすぎない。上関町は室津半島、長島、祝島、八島の4つからなっている。それら室津半島、長島、八島の住民にとって田ノ浦はまるで見えない位置にある。祝島は田ノ浦とは海を隔てているが、予定されている原発の真正面に位置している。しかも直線距離で4kmしかない。4kmという数字は、ほぼ新宿駅と渋谷駅の距離だ。祝島の住民は9割が反対しているという。
田ノ浦にはスナメリの生息地がある。絶滅危惧種のカンムリウミスズメも相次いで発見されている。原発ができれば貴重な生態が失われる。祝島の漁業も大きなダメージを受ける。もっとも中国電力は、貴重な鳥類への影響を危惧する指摘に対して、鳥は飛んで逃げるから構わないと答えたそうだが。
電源開発に関して、現在は太陽光発電や風力発電に世界の潮流が移っている。住民の反対を抑え込んで原発の推進を強行するべきではないだろう。政治が大きく変わった今こそ上関町の原発も考え直すべきではないだろうか。
写真は数日前にHさんが撮影した原発予定地から見た祝島。正面に祝島の集落が見えている。
こちらは祝島から田ノ浦に向かう船から見た日の出。ちょうど田ノ浦の原発予定地の真上から昇っている太陽。
上関原発反対運動 速報版ホームページ
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