東北芸術工科大学が熱い

 2006年に銀座のなびす画廊で優れた個展を見た。初個展をしていた画家の名前は片柳直美さん。東北芸術工科大学の卒業生だった。ここ数年、銀座などの個展でこの東北芸術工科大学出身の作家たちの優れた個展やグループ展を見かけるようになっていた。お茶の水のギャラリー1/fで毎年個展を開いている銅版画家の佐藤真衣さんも同じ大学の出身だ。
 実はもう10年以上前、東京都現代美術館で開かれた講演会で、この大学の教授をしている方が講師で話をした。NHKテレビの日曜美術館で見かけた人だった。講演の合間に、僕の教えている大学の学生は東京の美大を何回も受験して合格しなかった者や、地元出身のやる気のない者がほとんどだと言った。自分の学生なのにひどいことを言うものだと強く印象に残って憶えている。学生たちに聞くともうこの先生はいないようだが。
 ただこの数年、東北芸工大の学生の質が飛躍的に上がっているのは事実だと思う。どうしてなのかと何人もの卒業生に聞いた。先生方の意欲が違います。カリキュラムがすばらしい。宮島達雄先生が優れた先生方を集めたのです。
 なるほど、千里の馬は常にあれども伯楽は常にはあらずの言葉どおりだ。大学が変わったとすれば名伯楽の存在以外に理由はない。先の片柳さんは岡村桂三郎に教わっているが、今春岡村は多摩美だったか武蔵美だったかに移り、代わりにVOCA大賞を受賞した三瀬夏之介が赴任した。mixiに書いている三瀬の日記を読んでいるとやる気が充溢している。第2の片柳の出現は確実だろう。