8月下旬は毎年恒例のサントリーホールのサマーフェスティバルが開かれる。現代音楽の連続演奏会だ。「音楽の現在」で世界の旬の作曲家を紹介し、「テーマ作曲家」で、一人の作曲家の作品を演奏する。そして最後に芥川作曲賞選考演奏会が開かれる。今年の「テーマ作曲家」は韓国出身のウンスク・チンだ。「音楽の現在」の作曲家は、イタリアのサルヴァトーレ・シャリーノ、アメリカのオーガスタ・リード・トーマス、イギリスのルーク・ベッドフォード、ハンガリーのペーター・エドヴェシュの4人、いずれも初めて聞く名前だ。
このサマーフェスティバルをもう十数年聴いてきているが、現代音楽ということもあって満席になったことがない。当日券で十分入場できる。武満徹の姿も何度も見かけたし、一柳慧や林光など多くの作曲家たちの姿があった。
今年は楽しみな演奏が2つあった。細川俊夫作曲のオペラ「班女」が上演されるのだ。原作が三島由紀夫〈近代能楽集「班女」〉、翻訳がドナルド・キーンの英語版だ。サントリーホールの小ホール「ブルーローズ」に能舞台を出現させて、21日、23日、26日の3回上演される。
もう一つはシュトックハウゼン作曲の「グルッペン」の演奏。これは3群のオーケストラを3人の指揮者が指揮をする。日本では35年振りの演奏だという。メインステージのほか、1階の客席左右をつぶしてそれぞれにオーケストラを配置する。客席によって音が異なって聞こえるので、休憩を挟んで2回演奏し、客は席を移動して音の違いを味わってほしいとパンフレットに書いてある。
私が強く興味を持ったのと同じに多くの人も関心を持ったらしい。1か月前の昨日電話で申し込んだら、細川俊夫のオペラもシュトックハウゼンもチケットは完売していた。どうしてもっと早く申し込まなかったのか。とても残念だ。