社会

銀座にもある番外地

以前、カラーポジ専用の現像所である銀座のスポット商会と付き合っていた。写真がデジカメに移行してゆき、フィルムの現像が極端に減少して経営が大変になったとかで、大手のラボの傘下に入ったとスポット商会が挨拶に来たことがあった。その時の挨拶状に不…

臓器移植を巡る問題点

米本昌平「バイオポリティクス」(中公新書)はクローン技術やES細胞を巡る生命倫理について真剣に考察している本だ。 世界的な臓器不足は、よく知られているように経済格差を利用した「移植ツアー」を生んでしまっている。実際、湾岸諸国やマレーシア、シン…

ティッシュペーパーは何枚入っているのか

ティッシュペーパーは2枚づつ重ねられ、1箱が400枚200組で販売されている。それはJISなんかとは関係なく、単純にそういうものとして標準(デフォルト・スタンダード)になっているのだろう。だから改めて消費者もそれを疑うことが少なかった。写真の製品に…

「私、」を多用する男

「私、」を多用する男がいた。「私は」でなく「私、」だ。「私は」と言ったときその主張には明らかに責任が伴うだろう。そのように「私は」考えるのだ。 ところが「私、」と言ったとき、続く言葉と「私、」の関係はあいまいにされている。「私、」と言って1…

保証協会の役目

一般に上場していない中小企業の経営者は、銀行から借り入れをするときにその連帯保証を求められる。連帯保証人だけは決してなるなとの親の遺言があっても、これは逆らえない。会社が銀行から融資を受けると、経営者がその連帯保証人になる。そして会社が倒…

竿屋の商売

無料で廃品を回収しますと車で回っている業者がいる。使えなくなったノートパソコン、音の出なくなったラジカセやミニコンポ、動かなくなったミシンなど、無料にて無料にて回収しますとスピーカーから大きな声を出して回っている廃品回収車だ。 最近、廃品を…

志賀直哉の評伝を読む運転手

以前20年間ほどバイク通勤をしていた。墨田区内の自宅から秋葉原の会社まで5.5km、バイクなら通勤時間が10分だった。残業が多い職場で、退社が午後8時や9時は普通、一番忙しかったときは3か月以上午前0時前は退社しないと自分で決めたくらいだった。だが…

バカチョンカメラ

コンパクトカメラのことをバカチョンカメラと言った。バカでもチョンでも簡単に撮れるカメラという意味だ。以前この「チョン」とは朝鮮人の蔑称なので使ってはいけないと言われた。チョンとかチョン公とか言ったらしい。中国人の蔑称はチャンコロだった。チ…

東京で最初のロック喫茶Soul Eat

東京で最初にできたロック喫茶がどこだったか知っている。それは38年か39年前で、新宿厚生年金会館前のSoul Eat(ソール・イート)という店だった。広い店内にものすごい大音量のハード・ロックのレコードがかかっていた。なにしろ隣りに座る友人に大声で話…

ホームレスの短歌

朝日新聞12月8日の朝刊に「朝日歌壇」が掲載されていて、そこにホームレスからの投稿歌が二人の選者によって選ばれている。 (柔らかい時計)を持ちて炊き出しのカレーの列に二時間並ぶ (ホームレス)公田耕一 選評が (永田和宏)「柔らかい時計」はダリ…

「振り込め詐欺」を言い換えたい

「振り込め詐欺」は初め「振り込み詐欺」と言っていた。それでは意味としておかしいと思ったらしく、「振り込め詐欺」と言い換えた。だがこの「振り込め詐欺」がどうにも座りが悪いのだ。何と言ったらいいのか考えていた。意外に簡単だった。 「振り込ませ詐…

堀田善衛の「上海にて」を読んで

社会主義政権は失敗した。スターリンのソ連然り、毛沢東の中国然り。計画経済が画餅だった。人間はそんなに賢くはなかった。しかも、スターリンも毛沢東も何百万人の国民を殺したのだった。失敗したのはスターリンの、毛沢東の社会主義であって、本来の正し…

管理可能な金額はいくらか

人には管理可能な金額、つまりその上限の金額があると思う。 1992年飛鳥新社の発行した「磯野家の謎」が200万部を超えるベストセラーになった。その収益により新聞事業に進出し、夕刊紙「日刊アスカ」というマンガ新聞を発行するが25億円の赤字を出して半年…

変わった仕事

世の中には変わった仕事がある。普通に見られるのが捨てられている雑誌集め。駅のゴミ箱を漁って捨てられた雑誌を集めている。これは1冊20円で買ってもらえる。道路脇などで売られている雑誌の仕入れ先がこのおじさんたちだ。販売価格は1冊100円、差額の80…

差別に関する娘との会話

父さん、私ね自分に差別意識があることに最近気づいたのよ。どんな差別なんだい? 男の人を差別してるの。無意識のうちに女の人が優秀で男の人は一段低い人間だと思いこんでいたの。それに最近気がついたのよ。私は自分が女と言うより男に近いと思っているか…

振り込め詐欺の電話があったとき

流行の振り込め詐欺の電話がうちにもあった。ここ3年間で2回だったが。最初は朝私が出勤した後、電話をカミさんが受けた。上野駅でご主人が痴漢をして捕まっているという。カミさんはそうですか、確かめてみますと答えて放っておいたと、帰宅したら教えて…

リニア新幹線「南アルプス直下」方針

朝日新聞10月7日朝刊に、「リニア新幹線『南アルプス直下』方針」の見出しがあった。 JR東海は、東京ー名古屋で25年の開業を目指すリニア中央新幹線を、南アルプスをほぼ直線に貫くルートで建設する方針を固めた。建設費や乗車時間の面で有力だった直線ルー…

生命と食

ベストセラーになった名著「生物と無生物のあいだ」(講談社現代新書)の著者福岡伸一の講演を加筆したものが「生命と食」(岩波ブックレット)として出版された。「生きることと食べることの意味」「狂牛病が私たちに問いかけたこと」「食の安全をどう考え…

顧客満足

簡単に書きます。35年前入社した時の会社はスライド制作プロダクションから編集プロダクションに変わりつつあるところだった。入社後10年くらいでそれを広告制作プロダクションに変えていった。なぜ変えたか? クライアントの要望に応えるためだ。経営者から…

梅崎義人「動物保護運動の虚像」の衝撃

出版は少し古いが、梅崎義人著「動物保護運動の虚像」(成山堂書店)を読んだ。これが衝撃的な内容だった。 著者はこの本でグリーンピースやWWF(世界自然保護基金)を糾弾している。動物を絶滅から守るとして、まず捕鯨が禁止され、ついでアフリカ象の捕獲…

派遣社員の悩み

派遣社員の仕事の大変さが取りざたされている。その問題の一つに、上司との関係があるのではないか。普通、社員の上には係長、課長、部長などの管理職がいて、彼らが社員を指導している。彼ら管理職にも問題のない人間がいないわけではないが、一応管理職に…

皇后さんが京橋の画廊を訪ねた話

昔友人の勤めるメーカーの工場へ天皇が訪問したことがある。「訪問」じゃなくて何て言ったっけ? その時友人の会社は天皇専用のトイレを新設した。使うかどうか分からないが、仮にも天皇に少しでも汚れたトイレを使って頂いては申し訳ないということなのだろ…

小嵐九八郎「蜂起には至らず」をようやく読んだ

小嵐九八郎「蜂起には至らず」(講談社文庫)を読んだ。講談社のPR雑誌「本」に連載されていた頃拾い読みしていて興味はあるのになかなか読む気になれなかった。なにしろ副題が「新左翼死人列伝」といい、革マル派を除く27人の死者について書かれているのだ…

日本の建前社会

全農(全国農業協同組合連合会)が長年使用してきた「協」をデザインしたマーク(農協マーク)を、新しい「JA」マークに変えたとき、マークの色も金赤(黄ベタ+赤ベタ、イエロー100%+マゼンタ100%)からモスグリーンに変更した。農協系統のメーカーは自社…

世界の人口が多すぎる

毎日新聞7月6日の書評欄に若狭毅による古田隆彦「日本人はどこまで減るか」(玄冬舎新書)の紹介が小さく載っている。 日本の人口が2004年の1億2784万人をピークに減り始めた。政府やメディアはその理由を「少子高齢化」で説明し、人口減少を問題視する。…

YouTubeの「三島 vs 東大全共闘」の映像

hayakarさんの日記にYouTubeの「三島 vs 東大全共闘」の映像が紹介されている。(http://d.hatena.ne.jp/hayakar/20080615)それに対するhayakarさんのコメントが、 ちなみにYouTubeに上がってる「三島 vs 東大全共闘」 http://jp.youtube.com/watch?v=3dKnQ…

権力は腐敗する、いつでも

南木佳士「トラや」(文藝春秋)を読む。芥川賞作家であり医者でもある人がうつ病になり、奥さんや猫(トラ)に助けられ長い時間をかけて回復していく。トラは野良の子猫だったが南木家の飼い猫となる。そして15歳で急性腎不全にかかって亡くなるまでが描か…

不条理な盲人用タイル

JRの高田馬場駅近くには盲学校があるとかで、表面がボツボツした黄色の帯(盲人用タイルというらしい)が駅前から学校がある方向に貼られている。前にオートバイに乗っていた頃、このタイルの上に駐車して交番に呼ばれて叱られた。弁解の余地はない。 このタ…

中国のコピー商品との闘い

中国へ農薬の殺菌剤を輸出している会社から相談を受けたことがある。その会社の主力商品である殺菌剤が中国で評判がよく、当然のようにコピー商品が出回っている。初めはSONYをSOMYとかSONNYとか表示したやり方で名前を真似ていたが、その内に同じ名前で売る…

小嵐九八郎のレジュメによる新左翼の歴史

大江健三郎「河馬に噛まれる」(講談社文庫)を読んでいる。20年ほど前に単行本で出たときにも読んだが、今の住まいに引っ越したとき、蔵書はあらかた手放していたので、今回また購入して読んでいる。末尾の文章を読むと、1985年の文藝春秋社版を文春文庫に…