写真

僕の後ろに道は出来る

高村光太郎の有名な詩「道 程」 僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る ああ、自然よ 父よ 僕を一人立ちにさせた広大な父よ 僕から目を離さないで守る事をせよ 常に父の気魄を僕に充たせよ この遠い道程のため この遠い道程のため

林忠彦『文士の時代』が興味深い

林忠彦『文士の時代』(朝日文庫)が興味深い。戦後の昭和の作家120人ほどを取り上げている。林忠彦は著名人を多く撮っている写真家で、本書も作家の肖像写真を掲載し、ほとんどの作家について、1ページ分の短い文章が書かれている。ちょっと短すぎる印象だ…

銀座ニコンサロンの鷲尾倫夫写真展「巡礼の道 オキナワ」を見る

東京銀座の銀座ニコンサロンで鷲尾倫夫写真展「巡礼の道 オキナワ」が開かれている(8月27日まで)。鷲尾は1941年東京都生まれ、1960年愛知県国立高浜海員学校を卒業している。海運会社へ勤めた後、1973年に日本写真学園研究科を卒業し、1981年から20年間、…

国立新美術館でアンドレアス・グルスキー展を見る

東京六本木の国立新美術館でアンドレアス・グルスキー展が開かれている(9月16日まで)。ドイツ人の写真家で密集した「モノ」を巨大な画面で表示している。ちなみに上記ちらし表面の写真は、ニュートリノを観測するために作られた日本のカミオカンデを撮っ…

ガーディアン・ガーデンで仲田絵美展「よすが」を見る

東京銀座7丁目のガーディアン・ガーデンで仲田絵美展「よすが」が開かれている(7月11日まで)。仲田は1988年、茨城県生まれ。2011年写真ワークショップ松本美枝子の「キワマリ荘の写真部」を修了した。2012年、第6回写真「1_WALL」審査員奨励賞、第7回…

中田柾志写真展『ブローニュの森の貴婦人たち』がユニーク

東京銀座6丁目のヴァニラ画廊で中田柾志写真展『ブローニュの森の貴婦人たち』が開かれている(6月15日=今日まで)。何やら優雅なタイトルだが、その本当の意味は? 個展のちらしに中田が書いている。 フランス、パリ市の西部に位置するブローニュの森。…

カメムシ展が始まった

ジュンク堂書店池袋本店でカメムシ展が始まった(6月30日まで)。全国農村教育協会がほぼ20年にわたって「日本原色カメムシ図鑑」全3冊を発行してきた。約10年に1冊の刊行だ。3巻が揃ったのを記念して今回カメムシの写真展を企画したらしい。主催が書店…

銀座ニコンサロンの亀山亮写真展が興味深い

銀座ニコンサロンの亀山亮写真展「AFRIKA WAR JOURNAL」がとても興味深い(5月7日まで)。本展は「第32回土門拳賞受賞作品展」と銘打たれている。 亀山は1976年千葉県生まれ。96年より先住民の権利獲得運動を行なうサパティスタ民族解放軍など中南米の紛争…

鬼海弘雄の写真集『ぺるそな』がおもしろい

鬼海弘雄の写真集『ぺるそな』(草思社)がおもしろい。まえに鬼海の写真集『東京夢譚』を紹介したが、『ぺるそな』もとてもおもしろい。浅草の浅草寺の境内でそこに来る人々を1973年から2003年まで30年間撮りためたポートレート集だ。同じ場所で長期間撮影…

鬼海弘雄『東京夢譚』を読む

鬼海弘雄『東京夢譚』(草思社)を読む。鬼海は筑摩書房のPR誌『ちくま』の表紙の写真を担当している。主に浅草寺にやってきた人を多分ハッセルブラッドというブローニー判(6x6cm)のフィルムを使う中型カメラで撮っている。モノクロ写真だ。 この表紙に…

小林紀晴『メモワール』を読む

小林紀晴『メモワール』(集英社)を読む。副題が「写真家・古屋誠一との二〇年」、自身が写真家でもある小林が、古屋との長い交友を通じて古屋の「人」に迫ったもの。最近読んだ本のうちで最も深い感銘を受けた。 新聞の書評は、いとうせいこうが朝日新聞に…

JCII フォト・サロンで南良和作品展「秩父三十年」を見る

東京千代田区一番町のJCII フォト・サロンで南良和作品展「秩父三十年」が開かれている(5月6日まで)。南は1935年、埼玉県秩父生まれ。東京綜合写真学校を卒業している。今回の写真展「秩父三十年」は1957年から1991年までの秩父の農民の生活を撮ったもの…

ギャラリー ジーの染谷レイコ写真展「passed portraits」を見る

東京北青山のギャラリー ジーで染谷レイコ写真展「passed portraits」が開かれている(4月28日まで)。染谷は1980年、埼玉県生まれ、このギャラリー ジーで10回以上の個展をしている。 いつも主として若い女性のポートレートを撮っている。渋谷や表参道など…

北島敬三写真展「PLACES」がみごとだ

東京銀座の銀座ニコンサロンで北島敬三写真展「PLACES」が開かれている(3月26日まで)。プロフィール欄によると、北島は1954年長野県生まれ。81年日本写真協会新人賞、83年第8回木村伊兵衞賞、2007年第32回伊奈信男賞、10年第26回東川賞国内作家賞、日本写…

東京都写真美術館で「この世界とわたしのどこか」展を見る

東京都写真美術館で「この世界とわたしのどこか」展が開かれている(1月27日まで)。副題が「日本の新進作家 vol. 11」5人の写真家が取り上げられている。菊地智子、田口和奈、笹岡啓子、大塚千野、蔵真墨だ。ちらしに主宰者の主旨が書かれている。 東京都…

東京オペラシティアートギャラリーで篠山紀信展を見た

新宿区初台の東京オペラシティアートギャラリーで篠山紀信展「写真力」が開かれている(12月24日まで)。篠山は秋山庄太郎の後、女優などスターたちの肖像写真家としてまぎれもなく第一人者だろう。今から振り返ればいささか古くさい秋山と違ってはるかにモ…

ギャラリーQの谷口育美展「-chaos-」が興味深い

東京銀座1丁目のギャラリーQの谷口育美写真展が興味深い(10月27日まで)。谷口は1988年鹿児島県生まれ、2008年に東京綜合写真専門学校写真芸術第二学科を卒業している。2007年以降何度かグループ展に参加しているが、今回が初個展となる。ただし2011年には…

銀座ニコンサロンの芦沢武仁写真展「マラムレシェ 家の記憶」が興味深い

東京銀座7丁目の銀座ニコンサロンの芦沢武仁写真展「マラムレシェ 家の記憶」が興味深い(10月9日まで)。芦沢は1948年東京生まれ。民俗学の写真家芳賀日出男氏に師事。その後フリーカメラマンとして海外を中心に旅、人々の暮らし、ロマ人の文化などを撮影…

飯沢耕太郎が選んだ日本の写真家100人

飯沢耕太郎『深読み! 日本写真の超名作100』(パイ インターナショナル)を読む。写真評論家の飯沢耕太郎が幕末から最近までの日本の写真家100人を選び、各1点を取り上げている。印象に残った7点の写真を年代順にここに引用する。 1904年に撮られた日露戦…

ギャラリー ジーの染谷レイコ写真展を見る

外苑前のギャラリー ジーで染谷レイコ写真展「time of me - 3」を見る(9月16日まで)。染谷は1980年埼玉県生まれ。このギャラリー ジーのワークショップで写真を学んだ。使っているカメラはニコンFM2、フィルムはトライX。ふだん渋谷や表参道で声をかけた…

水を飲む箱男

地下鉄のホームで、安部公房の箱男が水を飲もうとしているのを見た。私のほかに気付いた者はいなかったようだ。でも、どうやって地下鉄のホームまで入り込めたんだろう。ちゃんと改札を通ってきたんだろうか。 箱男 (新潮文庫)作者: 安部公房出版社/メーカー…

東京都写真美術館の写真展3つ

東京都写真美術館の写真展を見る。コレクション展「光の造形 操作された写真」と「川内倫子展」それに「世界報道写真展」の3つ。それぞれ3階、2階、地下1階のフロアを使って開かれている。 まず「光の造形」を見る。 ちらしのテキストから、 「操作され…

少し変な写真3題

「トビに注意!」 これは神奈川県立近代美術館 葉山の入口にある看板。「手に食べ物を持っているとトビにねらわれて危険です」とある。 ・ 銀座の並木に食いこんだ鉄パイプ。 ・ 中華料理屋の店頭に貼られたちらし。 店の名前は大菜門、こう書いて「ダイナモ…

銀座ニコンサロンの石川直樹写真展

銀座ニコンサロンで石川直樹写真展「やがてわたしがいる場所にも草が生い茂る」が開かれている(3月6日まで)。石川は1977年東京生まれ、2008年東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程を修了している。2008年写真協会新人賞・講談社出版文化賞、2011年…

富岡多恵子『写真の時代』を読む

富岡多恵子の『写真の時代』(筑摩叢書)を読む。これは雑誌『カメラ毎日』に1976年から2年間連載したものをまとめたもの。もう35年も前になる。あまりに古いし、しかも富岡は写真のことに詳しくないと言っている。にも関わらず内容は意外に古びていない。 …

BLDギャラリーの細江英公写真展

銀座2丁目のBLDギャラリーで細江英公写真展第1期「鎌鼬」が開かれている(1月29日まで)。なんと5月まで6期の細江英公展が予定されているという。第1期からそれぞれ「鎌鼬」「シモン 私風景」「おとこと女+抱擁+ルナ・ロッサ」「大野一雄+ロダン」…

銀座ニコンサロンのハワード・ワイツマン写真展「FACING SHIBUYA」がおもしろい

東京銀座7丁目の銀座ニコンサロンでハワード・ワイツマン写真展「FACING SHIBUYA」が開かれている(1月31日まで)。 ワイツマン(Howard Weitzman)は1967年アメリカ・ニュージャージー州生まれ。コーネル大学コミュニケーション学部卒業。現在東京在住。2…

東京都写真美術館の「写真の飛躍」展がおもしろい

東京都写真美術館の「写真の飛躍」展がとてもおもしろかった。添野和幸、西野壮平、北野謙、佐野陽一、春木麻衣子の5人が取り上げられているが、私はとくに西野と北野がおもしろかった(1月29日まで)。 西野壮平は1982年兵庫県生まれ。2005年キャノン写真…

森岡純写真展が始まった

東京京橋のギャラリー檜plusで森岡純写真展が始まった(1月14日まで)。森岡は1949年島根県隠岐島生まれ、もう20年もギャラリー檜で個展を続けている。 会場に入って左の壁面にカラー写真を100点ほどびっしりと並べ、それに対面する右の壁には大きな白黒の…

銀座ニコンサロンの大沼英樹写真展「千年桜−−それでも咲いていた」

東京銀座7丁目の瓶座ニコンサロンで大沼英樹写真展「千年桜−−それでも咲いていた」を見る。ギャラリーのホームページから、 この作品は、誓いのもとに生まれた2011年の記憶すべき被災地の桜の記録である。 2011年3月11日午後2時46分。国内観測史上最大、マ…