中田柾志写真展『ブローニュの森の貴婦人たち』がユニーク


 東京銀座6丁目のヴァニラ画廊で中田柾志写真展『ブローニュの森の貴婦人たち』が開かれている(6月15日=今日まで)。何やら優雅なタイトルだが、その本当の意味は? 個展のちらしに中田が書いている。

 フランス、パリ市の西部に位置するブローニュの森セーヌ川に隣接し、場所によってはエッフェル塔が望める広大な森(846万平方米)。都会の喧噪から離れた静かな空間は、昼は市民の憩いの場として、週末は散歩やジョギング等を楽しむ人達で賑わう。2005年4月と2009年5月の2度、この地を訪れた。4月になると冬の暗鬱な空と寒さを乗り越えた植物は、陽光下、一斉に芽吹き、鮮やかな黄緑の色合いを作り出し、生命の躍動感で溢れ出す。古来、俗界から隔離した森には、精なるものが宿るという俗信がある。陽が傾き、新緑の葉は茜色に染まり、辺り一面静寂に包まれていくころ、この森にはどこからともなく、光沢の衣をまとい肌の露な貴婦人たちが姿を現す。性なるものが宿る、ブローニュの森



 この「光沢の衣をまとい肌の露な貴婦人たち」というのが、娼婦であり男娼であるのらしい。暗い森のなかにうごめく彼女らにストロボの光りを当てて中田がポートレートを撮っている。写真を見ても娼婦と男娼が区別しづらいほどに皆逞しい。本来明るいところで見てはいけなかったのではないか。それと私が心配したのは、夜の森でこんなに肌を露出して蚊に刺されないだろうかということ。それともパリには蚊がいないのだろうか。
 写真家の中田柾志は1969年青森県弘前市生まれ。2005年にキャノン写真新世紀で佳作賞を受賞している。
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中田柾志写真展『ブローニュの森の貴婦人たち
2013年6月3日(月)→6月15日(土)
12:00〜19:00(土曜〜17:00まで)
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ヴァニラ画廊
東京都中央区銀座6-10-10 第2蒲田ビル4F
電話03-5568-1233
http://www.vanilla-gallery.com