ギャラリーQの谷口育美展「-chaos-」が興味深い

 東京銀座1丁目のギャラリーQの谷口育美写真展が興味深い(10月27日まで)。谷口は1988年鹿児島県生まれ、2008年に東京綜合写真専門学校写真芸術第二学科を卒業している。2007年以降何度かグループ展に参加しているが、今回が初個展となる。ただし2011年には第33回写真新世紀優秀賞を受賞している。



 谷口はモノクロ写真でスナップ写真のようなものを撮っている。子どもが被写体になっているが、画廊のスタッフの方の話では谷口の子どもとのこと。それならなおさらスナップ写真のようだと言えるが、これらはスナップ写真ではない。では何か? 作品なのだ。スナップ写真と何が違うのか? スナップ写真というのは、個人的な写真なのだ。撮影者は普遍性、客観性に興味を持たないで撮る。個人的な記念写真がスナップなのだ。見られるように谷口の写真はこのスナップ写真の範疇に決して収まらない。作品という所以なのだ。少しだけアラーキーの「私写真」を思い出した。
 また展示のレイアウトがすばらしい。見せ方に華がある。スナップをこんな風に並べることはあり得ない。いま私たちは優れた写真家の誕生に立ち会っているのかもしれない。
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谷口育美展「-chaos-」
2012年10月22日(月)−10月27日(土)
11:00−19:00(最終日17:00まで)
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ギャラリーQ
東京都中央区銀座1-14-12 楠本第17ビル3F
電話03-3535-2524
http://www.galleryq.info