写真
東京銀座2丁目のBLDギャラリーで柴田敏雄の写真展「concrete abstraction」が開かれている(11月6日まで)。タイトルはコンクリートの抽象だろうか。そのうちの1点が特に不思議な写真だった。 ほとんど垂直のコンクリートで固められた壁面があり、そこに…
江成常夫の写真集「鬼哭の島」(朝日新聞出版)がすばらしい。江成は太平洋戦争の戦跡を訪ねて撮影をしている。その成果を東京都写真美術館やニコンサロンでも発表している。オアフ島、ガダルカナル島、ラバウル、マダン、ビアク島、トラック島、レイテ島、…
東京港区外苑前のギャラリージーで染谷レイコ写真展を見る(9月18日まで)。染谷は1980年、埼玉県生まれ。このギャラリー ジーで今回が8回目の個展になる。 いつも主として若い女性のポートレートを撮っている。表参道などで道行く女性に声をかけ撮影をさ…
東京都写真美術館で江成常夫写真展「昭和史のかたち」が開かれている(9月25日まで)。太平洋戦争に関連した写真展で、これがとても感動的だった。いくつかのテーマで展示されている。 まず「鬼哭の島」として、戦場となっていた太平洋の島々の戦跡を撮って…
銀座2丁目のBLDギャラリーで吉行耕平展「The Park」が開かれている(7月18日まで)。ギャラリーで配布しているちらしから。 (たまにこの「ちらし」のことをフライヤーなんて言っているピジンイングリッシュ語りのヤツがいる)。 吉行耕平は1946年広島県生…
銀座2丁目のBLDギャラリーの瀬戸正人展がおもしろい。瀬戸は写真家で、何度も台湾のビンロウ売り娘の写真展を開いている。ビンロウの実は弱い覚醒作用があるので長距離トラックの運転手が噛みながら走るのだという。台湾では長距離トラックの運転手向けにセ…
銀座3丁目のギャラリー檜Aで森岡純写真展が始まった(6月11日まで)。森岡純は1949年島根県隠岐島生まれ。20年ほど前から銀座のギャラリー檜で毎年6月に個展を行っている。 今回は大きな4点の写真を展示している。すべてモノクロだ。モルタルの壁の横に…
渡辺兼人写真展「忍草・帰還」が水道橋のギャラリーメスタージャで開かれている(4月16日まで)。渡辺兼人の写真「忍冬」については、日本カメラに掲載されていたのを紹介した。 ・日本カメラに掲載された渡辺兼人の「忍冬」(2011年1月19日) 想像してい…
1月10日の朝日新聞「GLOBE」に写真の特集があって、11人の写真家への質問と答えが載っていた。質問は、1.いつも使っているカメラは? 2.撮りたいものは? 3.写真はどうなるのでしょうか? というものだったが、このうち1.の「いつも使っているカメ…
東京都写真美術館で「スナップショットの魅力」と「ニュー・スナップショット」という2つの写真展が開かれている(2月6日まで)。 「スナップショットの魅力」は、ちらしによれば、 本展では、ウォーカー・エヴァンズやアンリ・カルティエ=ブレッソンな…
日本カメラ2011年1月号口絵に渡辺兼人の写真「忍冬(すいかずら)」が掲載されている。これがとても良い。いつも通りモノクロ写真だが、今回のテーマは水のある風景らしい。7ページに7点の作品が掲載されている。 「口絵ノート」に載っている渡辺の言葉。…
川本三郎・文、樋口進・写真の「小説家たちの休日」(文藝春秋)が面白かったことは以前紹介した。 ・川本三郎の「小説家たちの休日」では65人の作家が取り上げられた(2010年12月17日) ・ 紹介されている65人の作家たちのうち、とくに興味深い5人の写真を…
銀座ニコンサロンで有野永霧写真展「日本人景 三角地」が開かれている(11月9日まで)。 タイトルが三角地となっているが三叉路のことだ。三叉路と言えばここ数年の横尾忠則がテーマにしている絵画そのものだ。横尾も三叉路の写真を撮りそれをもとに絵画に…
敬老の日の20日に3つの写真展を見て歩いた。最初に六本木ヒルズ森タワーのアカデミーヒルズ40で行われた「東京フォト2010」という写真のアートフェア。35のギャラリーが500点の写真を展示していた。写真専門のギャラリーは少ないので、主に現代美術のギャラ…
銀座ニコンサロンで吉野正起写真展「道路」が開かれている(28日まで)。タイトルどおり様々な道路を撮影している。ここに掲げた写真はDMから取ったもので、車が通らなくなった舗装道路が両端から植物に侵食されて道幅が狭くなっている。道路はおそらく東西…
「森山大道 路上スナップのすすめ」(光文社新書)がおもしろかった。著者は森山大道と仲本剛。森山は街をスナップする「ブレ・ボケ・アレ」で有名なカメラマンだ。コダックトライXという高感度フィルムを使ってファインダーを覗かないで撮るノーファインダ…
安島太佳由「歩いて見た太平洋戦争の島々」(岩波ジュニア新書)をぜひ読んでほしい。安島は硫黄島を2回訪れ、太平洋戦争の戦跡を撮影する。そして、その後太平洋戦争の激戦地だった島々を訪ね歩き、戦跡の写真を撮る旅を始める。硫黄島のあと訪ねて本書で…
森岡純写真展がアスクエア神田ギャラリーで開かれている(13日まで)。 森岡純は1949年島根県隠岐島生まれ。個展は30年ほど前に駒井画廊でやり、ついで神田の田村画廊で2回やって、その後10年ほど発表をしなかった。20年ほど前から銀座のギャラリー檜で毎年…
東京銀座の資生堂ギャラリーで「チェコ写真の現在展」が開かれている(8月8日まで)。同展のちらしから、 近年、日本でもブックデザインや絵本、アニメーション映画をはじめとするチェコ芸術文化の人気が高まりつつあるなか、本展では、その独特な表現と作…
京橋のツァイト・フォト・サロンで「鷹野隆大 作品展『金魚ブルブル』」という写真展が開かれている(7月22日まで)。 鷹野はいつも男性のヌードを撮っている。作品には勃起まではしていない太いペニスがごろんと転がっている。日常で見るなら兎も角、写真…
写真の著作権は普通撮影者に帰属する。あらかじめ契約して著作権が発注者に帰属するとしておけば、著作権者は撮影者ではなく発注者になる。しかし特に契約がないのに撮影者に著作権が発生しないという例外がある。 それは平面を撮影した場合で、著作権は発生…
東京都写真美術館で2カ月間にわたって森村泰昌展「なにものかへのレクイエム」が開かれていた(5月9日まで)。今回は美術館の2つのフロアーを使って、写真と動画を数多く展示している。タイトルのように森村自身が写真に写された有名な人物や死者たちに…
東京日本橋のギャラリー・ショウ・コンテンポラリー・アートでギド・アルゼンチーニ展が開かれている(5月15日まで)。画廊のホームページから、 ギド・アルゼンチーニは、1966年イタリア・フィレンツェに生まれました。フィレンツェ大学で3年間医学を勉強…
銀座ニコンサロンで開かれている安島太佳由写真展「時代瞑(つむ)り」が必見だ。副題が「太平洋戦争 激戦の島々」とあり、副題がすべてを語っている。安島は激戦の島々を訪れて、今なお残る破壊された戦車や重火器、塹壕、上陸艇、日本兵の頭蓋骨等々を撮っ…
阿佐ヶ谷のギャラリー香染美術で飯村昭彦写真展を見た。「芸術状物質の謎」と題して、コンクリートの壁面にできた汚れや建物の破損などを芸術状物質と名付けて撮影している。同名の写真集の出版記念展だ。 案内のハガキによると、飯村はあのトマソンの煙突写…
中央区京橋のギャラリー山口で小松浩子の写真展が開かれている(11月21日まで)。これがとても興味深いものなのだ。久しぶりにヒットした写真展。 どこかの工場を撮っている。大きなモノクロ写真で、自分で現像プリントしているという。35mmフィルム、トライ…
恵比寿にある東京都写真美術館で北島敬三展が開かれている(10月18日まで)。「北島敬三 1975ー1991、コザ/東京/ニューヨーク/東欧/ソ連」と題された写真展は、それらの地域でスナップショットしたもの。北島は森山大道に師事し、ブレボケの手法で街を撮…
銀座ニコンサロンで開かれている黄龍起(ファン・ヨンギ)の写真展「筑豊・ケツワリ峠」がとてもいい。作家は韓国の大学を卒業した後来日して日本で写真を学んでいる。ニコンサロンのホームページから。 2006年、ある日の夕方、作者は「田川」で日本に住んで…
月曜日の朝日新聞朝刊にフジテレビのカラーの全面広告が載っている。「フジ感度全開!!!」というキャッチフレーズで、アナウンサーが大勢駆けてくる写真だ。何か変だ、何がおかしいのだろう。 すぐに分かった。全員が走っているのに、顔が走っているときの顔…
読売新聞2009年3月29日付け読書蘭に、井上寿一が井上祐子「戦時グラフ誌の宣伝戦」(青弓社)の書評を書いている。 (本書の)最大の魅力は、関連書とは一線を画す新しい問題提起である。グラフ雑誌の持つ戦争プロパガンダのイデオロギー性の暴露や侵略の告…