銀座ニコンサロンの安島太佳由写真展「時代瞑り」が必見

 銀座ニコンサロンで開かれている安島太佳由写真展「時代瞑(つむ)り」が必見だ。副題が「太平洋戦争 激戦の島々」とあり、副題がすべてを語っている。安島は激戦の島々を訪れて、今なお残る破壊された戦車や重火器、塹壕、上陸艇、日本兵の頭蓋骨等々を撮っている。
 安島が訪れて撮影した場所は、ガダルカナル、ツラギ、ガブツ、フロリダ、コロール、ペリリュー、アンガウル、トラック、ルソン、レイテ、コレヒドールサイパン、グアム、テニアン、ニューアイルランド、ニューブリテン、ニュージョージアニューギニア、ビアク等と記されている。

 ニコンサロンのホームページより


太平洋戦争中、ガダルカナルニューギニアなどの南太平洋の島々では、日米軍による激戦が繰りひろげられ、数多くの戦死者を出した。しかし、戦死した日本の兵士たちの7割が、戦闘死ではなく餓死や病死といった悲惨な戦場だったのである。そして今もなお100万人を超える兵士たちの遺骨は、この南冥の地で眠ったまま、いまだ故郷に帰ることすらできていない。
戦争を知らない戦後世代が数多くを占める現在では、戦争記憶の風化が年々進み、このような大事なことが何もなかったかのように忘れ去られようとしている。
300万人以上の戦死者を出した先の戦争は、わずか60数年前のことである。この歴史上の大事件がそんなに簡単に忘れ去られ、語り継がれていかない状況は大問題だと思った作者は、このような危機意識を持ちながら、太平洋戦争の激戦の島々を訪ね歩いた。
本展は、プロジェクト「若い世代に語り継ぐ 戦争の記憶」の企画作品として発表するもので、作者は、一人でも多くの若い世代の人たちに見てもらい、戦争の事実を知り、その愚かさ、悲惨さ、そして命の尊さを共に考える機会にできればと願っている。モノクロ約45点。

 安島太佳由は1959年福岡県生まれ、戦跡に関する写真展を何度も開いており、写真集も何冊も出版している。岩波ジュニア新書に「日本の戦跡を見る」があるという。今度読んでみよう。
 展覧会の会期は4月14日(水)−4月27日(火)
10:00ー19:00(最終日はー16:00)


銀座ニコンサロン
東京都中央区銀座7-10-1
電話03-5537-1469
http://www.nikon-image.com/activity/salon/