3つの写真展を見て

 敬老の日20日に3つの写真展を見て歩いた。最初に六本木ヒルズ森タワーアカデミーヒルズ40で行われた「東京フォト2010」という写真のアートフェア。35のギャラリーが500点の写真を展示していた。写真専門のギャラリーは少ないので、主に現代美術のギャラリーが出品している。本当にたくさんの写真を一望できた。ただ、35のギャラリーが自由に、勝手に展示しているので、そこには統一されたコンセプトがない。言ってみれば雑多なのだ。あそことここにおもしろいのがあったというような印象だった。森タワー40階からの眺望がむしろ印象的だった。
 ついで恵比寿の東京都写真美術館へ行った。ここでは「私を見て! ヌードのポートレイト」と「オノデラユキ 写真の迷宮へ」を開催している。ヌードのポートレイトが良かった。明治時代の半裸の労働者を撮影した下岡蓮杖の写真からウィトキン、ブラッサイマン・レイメイプルソープ秋山庄太郎、中村立行、アラーキー鷹野隆大などが並んでいる。鷹野はゲイのヌードを専門に撮っていて、普段ツァイト・フォト・サロンで個展をやっている。そこでの個展に比べると品の良い作品が出されていたが。グレーデンがあったが、魚の口に指を突っ込んでいる太いペニスの少年の写真ではなかった。できたら18禁の部屋を作って過激な写真も見せてほしかった。でもこれらの写真が全部写真美術館の所蔵品だという。大したものだ。
 オノデラユキはパリに住んでいる。カメラに細工をしたり、雑誌などから切り抜いた人型に既存イメージの断片をフォトモンタージュで埋め込んだり、古着を撮影したりしている。大きな括りでモダニズム写真に属するのではないか。彼女もツァイト・フォト・サロンで何度も見ているが、私はこの手の写真が苦手なのだ。
 この東京都写真美術館にしろ東京都現代美術館にしろ、箱物行政を批判された鈴木都知事が作ったものだったが、良いことをしてくれたと感謝している。


東京都写真美術館
http://www.syabi.com/