「歩いて見た太平洋戦争の島々」をぜひ読んでほしい

 安島太佳由「歩いて見た太平洋戦争の島々」(岩波ジュニア新書)をぜひ読んでほしい。安島は硫黄島を2回訪れ、太平洋戦争の戦跡を撮影する。そして、その後太平洋戦争の激戦地だった島々を訪ね歩き、戦跡の写真を撮る旅を始める。硫黄島のあと訪ねて本書で報告した島々は次のとおりだ。

ガダルカナル島……「餓島」と呼ばれた悲劇の島
ラバウルニューギニア東部……もっとも苛酷な戦場
ビアク島……ニューギニア西部の激戦地
トラック諸島……日本海軍の太平洋における一大拠点
マリアナ諸島……絶対国防圏の要衝
パラオ諸島ペリリュー島……洞窟持久作戦が始まった島
フィリピン……最大の戦死者を出した戦場

 著者は写真家だ。今年4月には銀座ニコンサロンで写真展を開催している。その時のことは下記に書いた。

銀座ニコンサロンの安島太佳由写真展「時代瞑り」が必見(2010年4月20日

 それを岩波ジュニア新書から出版した。これはとても意義のある仕事だと思う。驚くことは、太平洋の激戦地だった島々には日本の兵器はもとよりアメリカの兵器も数多く残存していることだ。もちろん半ば破壊されていて兵器の残骸ではあるが。それでも錆びついた戦闘機や半ば海に浸かっている米軍戦車揚陸鑑、海に放置されたままの米軍戦車、朽ち果てたゼロ戦、ほぼ完全な形で残された陸軍100式重爆撃機「呑龍(どんりゅう)」などの鮮明な写真が数多く掲載されている。
 歴史で学んだ太平洋戦争を、現地を訪ね歩いた安島によるレポートと、安島によって撮影された衝撃的な写真で、具体的に実感することができるのだ。もっともっと話題になってよい本だと思う。


歩いて見た太平洋戦争の島々 (岩波ジュニア新書)

歩いて見た太平洋戦争の島々 (岩波ジュニア新書)