坂崎幸之助『ネコロジー』を読む

 坂崎幸之助『ネコロジー』(河出書房新社)を読む。坂崎幸之助THE ALFEEのメンバー。THE ALFEENHK FMで「THE ALFEE 終わらない夢」という番組を持っている。3人のメンバーが交代で雑談みたいなおしゃべりをし、曲を流している。私は彼らの屈託のないおしゃべりが好きで時々聴いている。また坂崎の実家の酒屋は私が図書館に行く途中にあり、お兄さんからビールを買ったこともあった(酒屋はすでに廃業したが)。

 本書は坂崎のノラ猫の保護活動などについて書いている。

 坂崎とエサやりおばさんたちはノラ猫がいると捕まえて病院に連れて行って、感染症の有無や病気などをチェックし、不妊・去勢手術を施してもとの場所に逃がしてやる。その後きちんとエサやりを欠かさない。

 そのエサやりを批判してくる人たちに対しては次のように主張している。

「ここでエサをやらないでもらえます?」

 と、誰かが激怒している。まず「説明おばさん」は静かに振り返り、

「あなたは、たぶん猫が嫌いなんでしょう?」

 と柔らかく言う。そうすると相手はたいてい、

「嫌いなんです」

「嫌いではないけど、庭を荒らすノラ猫は困るんです」

「もう、うるさくって」

 などと答える。そこで「説明おばさん」は、強烈に切り返すのだ。

「じゃあ、今ここでノラ猫を殺せますか?」

 そう言われて、「はい」と答える人はまずいない。いちゃ困る。

 だいたいの人はここで、

「それはできないけれども、私はノラ猫はいない方がいいと思うし……」

 と、ちょっとひるんでしどろもどろ。

 そこまでいったら、もう「説明おばさん」のペースだ。あくまで穏やかな口調で、相手の目を見て「説明おばさん」は続ける。

「じゃあ、長いスパンでものを考えてみてください。私たちは、エサをやりながらノラ猫を慣らしていって、捕まえて、避妊・去勢の手術をさせているんです。そして、またここに返して、ちゃんと毎日エサをやりに来ます。そこでこの猫たちが寿命を全うして死んだら、もう、ここには猫はいなくなるでしょう? 何か間違っていますか?」

 つまり、ただカワイイからというだけで、やたらにエサをやっているわけじゃないことを、ちゃんと主張しておくのだ。

「言いかえれば、私たちは、ノラ猫が嫌いなあなた方のためにやっているんですよ。避妊・去勢代は私たちが全部持っていますから。エサ代もね」

 

 子猫を保護すると里親を探す。病気で里子に出しにくい子猫などは坂崎が飼うこともあり、すでに何匹も飼っている。しかし、生後3、4か月の猫が猫白血病のウイルスを持っていて、坂崎が飼っていたが、具合が悪くなって病院に連れて行ったその夜死んでしまった。それ以来、うちで飼っている猫はその最後の時間まで一緒にいてやろうと決心した。

 先天的に背骨が1本足りなくて腸の形も変形していてひどい便秘の猫(ミッちゃん)がいた。毎週先生のところへ連れて行ってウンコを出してもらった。最初の頃ミッちゃんはすごく嫌がっていたが、だんだん気持ちよくなってきたようだった(先生はお尻の穴に指を入れるのだ)。先生にそうやって出してもらっていると、もう目も潤んで恍惚の表情になったと言う。

 坂崎さん、あなたは偉い!

 本書を読んで、園田ゆり『ツレ猫 マルルとハチ』(講談社)を思い出した。野良猫だったマルルとハチの物語で、保護猫シェルターを運営する青年たちとの交流の日々が描かれている。やはり、ノラ猫を保護することの困難なエピソードが紹介され、またノラ猫たちのドラマチックな社会も興味深く描かれている。単に可愛いだけではなく、深みのあるコミックなのだ。