東京都写真美術館の写真展3つ

 東京都写真美術館の写真展を見る。コレクション展「光の造形 操作された写真」と「川内倫子展」それに「世界報道写真展」の3つ。それぞれ3階、2階、地下1階のフロアを使って開かれている。
 まず「光の造形」を見る。


 ちらしのテキストから、

「操作された写真」というと、なにか手を加えて現実をねじ曲げ、偽りの出来事を伝える物というネガティブな印象をうけるかもしれません。しかし「光を利用した画を造る」と書くと印象は随分と変わらないでしょうか。今回は、さまざまな目的で、撮った写真をそのままプリントするだけではなく、その過程で、加える(彩色写真〈横浜写真〉など)、イメージを組み合わせる(コラージュ、フォトモンタージュ、多重露光、リフレクション、雑巾がけ)、切り取る(トリミング)といった技法を使った作品を展示します。

 意図はすばらしいものだが、展示は地味でさほど興味をひくものではなかった。


 ついで「川内倫子展」を見た。川内は1972年滋賀県生まれ、2002年に木村伊兵衛写真賞を受賞している。


 ちらしのテキストから、

川内倫子は、私的な日常光景を切り取り、つなぎあわせ、普遍的な生命の輝きへと昇華させる写真表現によって同時代の高い評価を獲得してきました。特定の時間や場所を記憶する写真の束縛から解き放たれた瞬間瞬間の光景には、光と闇、生と死、過去と現在が交錯し、容易に言葉に置き換えることのできないイメージの純粋さは、見る者のさまざまな記憶や感情を呼び覚まします。

 光が反射する階段を登る女生徒たちの脚、阿蘇の小高い山の野焼き、うずしおプラネタリウムの夜空等々。しかし、川内の世界は私にはどれも響かなかった。


 最後に地下の「世界報道写真展」を見る。報道写真というだけあって、世界中の事件が写されている。それも新聞や雑誌には載せにくいものが多い。

 イエメンの抗議デモで催涙ガスを浴びた息子を抱える母の写真が大賞を得ていた。リビアカダフィ大佐の遺体、東北の津波の被害と原発事故、中国の飛び降り自殺を図る花嫁、ウクライナの麻薬依存症の娼婦、イランでの公開処刑では何人もが絞首刑で吊されている。森林監視員に襲いかかるヒョウ、メキシコの麻薬カルテルの抗争の被害者の身体は二つに切り刻まれている。
 この写真展はすごかった。ただキャプション(写真説明)の読みにくさは何とかならなかったか。
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「光の造形」 7月8日まで
川内倫子展 7月16日まで
世界報道写真展 8月5日まで
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東京都写真美術館
東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス
電話03-3280-0099 
http://www.syabi.com