写真

染谷レイコの写真が変わった

東京北青山のギャラリージーで染谷レイコ写真展「Coming Out」が開かれている(4月24日まで)。染谷は1980年、埼玉県生まれ。今回がこのギャラリー ジーで13回めの個展になる。 DM葉書の写真を見てみよう。若い娘がビルの蔭の階段に座っている。足を少し挑…

銀座ニコンサロンで中筋純写真展を見る

東京銀座の銀座ニコンサロンで中筋純写真展が開かれている(2月16日まで)。中筋は1966年和歌山県生まれ。東京外国語大学を卒業後、出版社勤務を経て中筋写真事務所を設立。雑誌、広告写真と平行して日本の産業遺構を撮影。2007年に訪問したチェルノブイリ…

トキ・アートスペースの小松浩子展の過剰さがおもしろい

東京港区のトキ・アートスペースで小松浩子写真展が開かれている(12月13日まで)。小松は神奈川県生まれ、写真は金村修に学んでいる。初個展は今はもう閉廊したギャラリー山口で6年前の2009年だった。以来、ギャラリーQ、トキ・アートスペース、The White…

森岡純写真展が始まった

東京銀座のギャラリー現で森岡純写真展が開かれている(10月24日まで)。森岡は1949年島根県隠岐島生まれ。いままで長くギャラリー檜で個展を続けてきた。 森岡はいつも日常的な風景を撮っている。人物が登場することはあまりない。街の一角や道路、看板や建…

荒木経惟『天才と死』を読んで

荒木経惟『天才と死』(イースト新書)を読む。タイトルからは分からないが、これはアラーキーの対談集だった。北野武、赤塚不二夫、綾小路きみまろ、森山大道、末井昭ら5人と対談している。 しかしアラーキーは誰ともまともな会話をしないように見える。真…

銀座ニコンサロンの柴田れいこ写真展「届かぬ文:戦没者の妻たち」を見て

東京銀座のニコンサロンで柴田れいこ写真展「届かぬ文(ふみ):戦没者の妻たち」が開かれている(6月30日まで)。柴田は1948年岡山県生まれ、2005年に大阪芸術大学写真学科を卒業している。 ギャラリーのホームページに、本展に関する柴田れいこの言葉が掲…

深瀬昌久写真展「救いようのないエゴイスト」を見る

東京渋谷のDIESELアート ギャラリーで深瀬昌久写真展「救いようのないエゴイスト」が開かれている(8月14日まで)。深瀬は1934年北海道生まれ、日本デザインセンターや河出書房に勤めた後フリーのカメラマンになる。荒木経惟、東松照明、細江英公、横須賀功…

鬼海弘雄の撮った街

鬼海弘雄『誰をも少し好きになる日』(文藝春秋)を読んで、そこに掲載されている写真と同じ場所を撮ってみたいと思った。以前も鬼海の別の写真集のカットと同じ場所を探したことがあったが、その時は見つけられなかった。今回は、写真に住所表示が写ってい…

鬼海弘雄『誰をも少し好きになる日』がすばらしい!

鬼海弘雄『誰をも少し好きになる日』(文藝春秋)を読む。これがとてもすばらしい。『文学界』の2011年9月号から3年間連載したもの。連載時の形は分からないが、本書ではエッセイが3ページに写真が2葉2ページという構成になっている。鬼海の写真は何度…

銀座ニコンサロンの新田樹写真展「サハリン」が印象的だ

東京の銀座ニコンサロンで新田樹写真展「サハリン」が開かれている(5月5日まで)。新田は1967年、福島県生まれ。東京工芸大学工学部卒業後、麻布スタジオ入社。1991年半沢事務所入社。1996年独立。写真展に、2003年コニカ・フォトプレミオ「SURUMA…

ギャラリージーの染谷レイコ展「passed portraits」を見る

東京北青山のギャラリージーで染谷レイコ展「passed portraits」が開かれている(4月19日まで)。染谷は1980年、埼玉県生まれ、このギャラリー ジーで10回以上の個展をしている。 染谷はいつも渋谷や表参道などで若い女性に声をかけて彼女たちのポートレイ…

森山大道『通過者の視線』を読む

森山大道『通過者の視線』(月曜社)を読む。森山はストリート・スナップのカメラマン。すでに120冊以上の写真集を出版し、美術館での写真展も、ロンドンのテート・モダンやパリのカルティエ現代美術財団、サンフランシスコ近代美術館をはじめとするアメリカ…

昭和天皇とヘルムート・ニューマン

昭和天皇とヘルムート・ニューマンには本来何の関係もない。2年ほど前になるだろうか。日本橋の画廊に杉本博司が白黒で撮影した昭和天皇の大きな肖像写真が展示されていた。8×10(エイトバイテン=20cm×25cm)と呼ばれる大型カメラで撮られた写真らしく、…

写真で抽象絵画?

地下鉄外苑前駅の改札に続く地下道を歩いているとき、眼の端に一瞬優れた抽象絵画が飛びこんできた。よく見直すと、それは壁に作られたポスターを貼るスペースで、おそらく剥がされたポスターの両面テープの汚れが作る形がそんな風に見えたのだった。その"作…

Canon一眼レフEOS 70Dのポスター

電車の広告でCanon一眼レフEOS 70Dのポスターを見かけた。男がカメラを構えている。ズームレンズらしいのが斜めを向いていて、レンズの先がちょっとアウトフォーカス(ピントが外れている)になっているのが気になった。どうしてこんな構図にしたのだろう。…

コバヤシ画廊の松本泉写真展「甲冑」がおもしろい

東京銀座のコバヤシ画廊で松本泉写真展「甲冑」が開かれている(8月9日まで)。これはクワガタムシなど甲虫をデジタルカメラ(キャノンEOS)で撮影したもの。ただ単純に接写したのではなく、ピントの位置を変えて何枚も撮り、それを合成している。この手法…

東京都写真美術館で『岡村昭彦の写真』を見る

東京都写真美術館で『岡村昭彦の写真』展が開かれている(9月23日まで)。その展覧会のちらしより、 岡村昭彦(1929-85)は、1964年6月12日号の『ライフ』に9ページにわたり掲載されたベトナム戦争の写真によってフォトジャーナリストとしてデビューを果た…

鬼海弘雄『世間のひと』を見る

鬼海弘雄『世間のひと』(ちくま文庫)を読む〜見る。鬼海が40年にわたって撮影した世間のひと=普通の人のポートレイト集。鬼海は浅草寺の境内で、長年にわたってハッセル・ブラッドというブローニー判のフィルムを使う中型カメラで道行く人のポートレイト…

キャノンギャラリーSで鬼海弘雄写真展「INDIA 1982-2011」を見る

東京品川のキャノンギャラリーSで鬼海弘雄写真展「INDIA 1982-2011」が開かれている(6月16日まで)。鬼海は1945年山形県生まれ。法政大学文学部哲学科卒業後、遠洋マグロ漁船乗組員、暗室マンなどの様々な職業を経て写真家になる。1973年より浅草で肖像写…

銀座ニコンサロンの石川文洋写真展を見る

東京銀座ニコンサロンで石川文洋写真展「戦争と平和・ベトナムの50年」が開かれている(6月3日まで)。ギャラリーのホームページから、「写真展内容」の紹介。 1964年8月、ベトナム沖で米駆逐艦が北ベトナム魚雷艇の攻撃を受けたとされる「トンキン湾事件…

世田谷美術館の「桑原甲子雄の写真」展が良かった

世田谷美術館で「桑原甲子雄展の写真」展が開かれている(6月8日まで)。これがとても良かった。桑原は1913年に東京下町に生まれ、2007年に亡くなった。展覧会のちらしから、 戦前期、生まれ育った東京の下町をアマチュア写真家として撮り歩いた桑原甲子雄…

ガーディアン・ガーデンの阪本勇写真展「天竺はどこや!!」がおもしろい

東京銀座のガーディアン・ガーデンで開かれている阪本勇写真展「天竺はどこや!!」がおもしろい(5月29日まで)。おもしろいと書いたものの、おもしろかったのは絵画の方だった。 阪本は1979年、大阪生まれ。日本大学芸術学部写真学科中退。写真家本多元氏に…

ギャラリー檜の森岡純写真展が興味深い

東京京橋のギャラリー檜プラスで森岡純写真展が開かれている(5月3日まで)。森岡は1949年島根県隠岐島生まれ、もう20年以上ギャラリー檜で個展を続けている。 森岡はいつも日常的な風景を撮っている。人物が登場することはない。街の一角や道路、看板や建…

林典子『人間の尊厳』を読む

林典子『人間の尊厳』(岩波新書)を読む。標題の前にフォト・ドキュメンタリーと付されている。林は報道カメラマンだ。1983年生まれ、大学在学中の2006年、アフリカのガンビア共和国の新聞社で写真を撮り始める。その5年後早くも名取洋之助写真賞受賞、201…

ギャラリー・ジーの染谷レイコ展「passed portraits」を見る

東京北青山のギャラリー ジーで染谷レイコ写真展「passed portraits」が開かれている(4月27日まで)。染谷は1980年、埼玉県生まれ、このギャラリー ジーで10回以上の個展をしている。 染谷はいつも渋谷や表参道などで若い女性に声をかけて彼女たちのポート…

鳥原学『日本写真史』を読む

鳥原学『日本写真史(上)(下)』(中公新書)を読む。日本の写真史に関しては、飯沢耕太郎や伊藤俊治、多木浩二あたりの仕事があり、こんな名もない人の写真論なんかどうかなあと思いながら読んでいった。とんでもないことだった。私は優れた日本写真史を…

東京国立近代美術館のジョセフ・クーデルカ展がすばらしい!

東京国立近代美術館でジョセフ・クーデルカ展が開かれている(1月13日まで)。この写真展がとてもすばらしい! 日本の写真家がみな霞んでしまうほどだ。こんなに優れた写真家を知らなかったことを恥じる。 展覧会のちらしから、 ジョセフ・クーデルカ(1938…

山田宏一『NOUVELLE VAGUE 山田宏一写真集』を読む

山田宏一『NOUVELLE VAGUE 山田宏一写真集』(平凡社)を読む。2010年6月に山田宏一は水道橋駅近くのギャラリーメスタージャで写真展を開いた。その時のタイトルが"山田宏一写真展「NOUVELLE VAGUE(ヌーヴェル・ヴァーグ)」だった。映画評論家山田宏一が…

東京都写真美術館の展示を見て

東京都写真美術館で同時に行われている3つの写真展を見た。 ・「日本の新進作家 vol.12 路上から日本を変えていく」 ・植田正治とジャック・アンリ・ラルティーグ「写真で遊ぶ」 ・高谷史郎「明るい部屋」 最初に「日本の新進作家 vol.12 路上から日本を変…

東京ステーションギャラリーで「生誕100年! 植田正治のつくりかた」を見る

東京ステーションギャラリーで写真展「生誕100年! 植田正治のつくりかた」を見る。植田正治は1913年に生まれて、2000年に亡くなっている。それで今年が生誕100年になる。植田は鳥取の砂丘を舞台に、子どもたちや男女の演出された写真を撮っていた。変わった…