
東京六本木の国立新美術館で「時代のプリズム」が開かれている(12月8日まで)。副題が「日本で生まれた美術表現展1989-2010」というもの。まさに平成の始まった年から20年間の日本現代美術の粋を並べている。
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昭和が終わり、平成の始まった1989年から2010年までに、日本でどのような美術が生まれ、日本からどのような表現が発信されたのか。本展は、国内外の50を超えるアーティストの実践を検証します。この20年間は、冷戦体制が終わり、人、ものが行き来するグローバル化の始まりによって、国際的な対話が大いに促進された時期です。当館はアジア地域におけるパートナー美術館、香港のM+との協働キュレーションにより変化に富んだ時代を見つめ直します。
本展は、80年代初頭以降の国際化の胎動を伝える「プロローグ」に始まり、続く「イントロダクション」では、日本社会が大きな転機を迎えるなか1989年を転換点として登場した、新しい批評性を持つ表現を紹介します。そして、以降の時代をテーマに基づく章=3つのレンズを通して見つめていきます。1章「過去という亡霊」では戦争、被爆のトラウマ、戦後問題に向き合い続ける探求を、2章「自己と他者と」では自他のまなざしの交換のなかでアイデンティティやジェンダー、文化的ヒエラルキーを問う実践を、3章「コミュニティの持つ未来」では、既存のコミュニティとの関わりや新たな関係性の構築に可能性を探るプロジェクトを紹介していきます。国内外のアーティストによる実験的挑戦は、時代、社会の動向をとりこむプリズムとなって、さまざまな問いかけを含んだ作品へと反射されていきました。
この20年間の日本というプラットフォームを国内外の双方向的視点で捉えながら、複数の歴史と文脈が共存する多元的な美術表現を提示します。
とても見応えがあった。私が現代美術を見始めた時と重なっていて懐かしい作品ばかりだった。魅力的な動画も多かったが、動画の撮影は諦めたので言葉で説明する。当時の日本現代美術の粋が並んでいるので、必見の展覧会だと思う。






















動画では高嶺格の「God bless America」が秀逸。数人で1トンほどある粘土を何度も作り替える。ブッシュ大統領になったりゴリラになったりする。数日間の記録を8分18秒に縮めている。スタジオに寝泊まりしていて、横のベッドではセックスもしている。
小泉明朗の特攻隊員の動画は、特攻隊員に扮する役者が演出家に厳しくダメ出しされて感情が高ぶっていく。
シャロン・ロックハートの「Goshogaoka」は1996年にアーチストレジデンスで取手に滞在していた作家が、近くの御所が丘中学の女子バスケットボールの選手たちの練習風景を撮影したもの(冒頭のチラシの左下の写真)。自然な練習風景に見えるが、アメリカから有名な振付け師を呼んで振り付けたもの。当時NHK日曜美術館に紹介されて、まだ編集中だという動画が数分間だけ放映された。それが素晴らしくて完成作品を見たいと思ったが、新宿のパークサイドビルで1度だけ公開されたのだが見そこなった。写真作品はケンジタキ・ギャラリーで公開された。完成作品は横浜市美術館に収蔵されているが、フィルムが痛むからとめったに公開されていない。今回28年ぶりに見ることが叶ったが、全編で63分もあり、当時数分だけ見た編集中の作品ほどの感動はなかった。
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「時代のプリズム――日本で生まれた美術表現展1989-2010」
2025年9月3日(水)-12月8日(月)
10:00-18:00(金・土は20:00まで)火曜日休館
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東京都港区六本木7-22-2
電話050-5541-8600(ハローダイヤル)