スプラウトキュレーションの山本麻世展を見る

 東京神楽坂のスプラウトキュレーションで山本麻世展「交わると、生まれます」が開かれている(11月13日まで)。山本は1980年東京都生まれ、2005年に多摩美術大学大学院美術研究科工芸専攻陶コース博士前期課程を修了している。ついで2008年にオランダアムステルダムの美術学校の陶芸学科を卒業し、2009年にはアムステルダムの別の美術学校のファインアート学科を中退している。その後オランダと韓国に滞在して制作し、内外のアートフェアに参加しているが、多く野外展示とのこと。2017年にギャラリー川船で初個展。

 ギャラリーが配布しているちらしから、

 

スプラウトキュレーションでは複数のグループ展に参加した後、初の個展となる本展では、オランダ留学時代に制作したセラミックの作品と、廃棄され錆びついた建設資材の金属片に、自作のフェルトを纏わせた新作のオブジェを出品します。製作時期も異なり、一見して関連性も無さそうに見えますが、じつはグリッドという共通項が二つのシリーズを繋いでいます。

 



 セラミックの作品が、特に変哲もないような造形だが、これが不思議に美しい。とても魅力的なのだ。もう一つの籠のようなものにフェルトを纏わせたオブジェについては、特に美しくもないし、よく分からなかった。

 やはりちらしから、

 

線の交差とは別のレイヤーにあるコンセプト「異素材の交差」もまた、何かの発生原理を示唆しています。錆びた鉄の廃材に、未知の菌が寄生して増殖している様にも見えるオブジェ。未知の菌は鉄を分解し、養分として活性化する性質なのか、鉄錆のオレンジ色は徐々に紫に変色し始め、やがて新たな生命体(キメラ)に変態するかのような、ドラマティックな展開を予感させます。はっとするパープルと錆から出たオレンジ。その滲みは、日没と陽の出に地球の際に出現する官能的なコントラストと相似でもあり、終わりと始まりの循環を象徴しています。(中略)

……山本麻世の表現は、生命が併せ持つ不気味さ/美しさに同時にアクセスしようとするものであり、今後より一層重要な意義を持つと考えられます。

 

 そうか、少し分った気がした。

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山本麻世展「交わると、生まれます」

2022年10月15日(土)―11月13日(日)

木―土曜は13:00―19:00、日曜は13:00-17:00(月-水曜休み)

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スプラウトキュレーション

東京都新宿区西五軒町5-1 ヱーワビル3階

電話03-3268-8700

https://sprout-curation.com/