銀座メゾンエルメス フォーラムの田口和奈展を見る

 東京銀座の銀座メゾンエルメス フォーラムで田口和奈展「A Quiet Sun」が開かれている(9月30日まで)。田口は1979年東京都生まれ、東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業後、同大学院美術研究科博士号取得。2013年よりオーストリア、ウィーンを拠点に制作を続けている。

 ギャラリーのホームページより、

 

田口は、多重的な構造を有するモノクロームの作品を手がけており、これによって時間や空間といった抽象的な存在を見出すことを試みている。たとえば、自ら制作した絵画や彫刻を多重露光で撮影する、プリントした印刷紙の上に油彩でドローイングを描いてさらに撮影するなど、重層的な制作手法をとっており、写真でありながらも長い時間をかけてカンヴァスに向かう絵画に似た姿勢を見てとることができる。

また、田口は、しばしば過去の美術作品を参照し、匿名のファウンドフォトや雑誌から既存のイメージを用いるなど、収集した過去のイメージ群が織りなすアレゴリーを読み取ることを試みている。そこには、ドイツの美術史家アビ・ヴァールブルクによる、古代から現代に至るイメージの記憶を星座のごとく浮かびあがらせるプロジェクト『ムネモシュネ・アトラス』の影響がある。

 



 作品とは別に驚いたのは展示風景だった。小さな写真作品を大きな壁面にポツンと設置している。ある意味きわめて贅沢な展示だ。ギャラリーのスタッフによると、この展示は田口の意図によるという。ほとんどインスタレーションと言った趣なのだ。

 作品おおよび展示設計がとてもユニークだった。

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田口和奈展「A Quiet Sun」

2022年6月17日(金)―9月30日(金)

11:00-20:00(日曜は19:00まで)

不定休(エルメス銀座店の営業に準ずる)

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銀座メゾンエルメス フォーラム

東京都中央区銀座5-4-1 8・9階

電話03-3569-3300

https://www.fashion-press.net/news/88323