ギャラリー川船の角居康宏展を見る

 東京京橋のギャラリー川船で角居康宏展が開かれている(5月28日まで)。角居は1968年石川県生まれ、1993年金澤美術工芸大学美術工芸学部デザイン専攻を卒業している。その後全国各地のギャラリーで個展を開いている。川船では6年ぶりの個展となる。

 作品は円柱形のアルミニウムで作られた立体だ。川船の西村久子が、これらの作品について書いている。

 

 直前まで試行錯誤を重ねて鋳造された円柱形の作品群は、自立する生きもののようでありながら、同時に古代都市の遺跡に残された神殿の柱のようでもある。デルフォイアポロンの神殿にかつてかかげられていたという格言「汝自身を知れ」を思い起こすとき、「自身」という言葉の深遠におりてゆくことはもとより、いまここにいる私が何によって形作られているのか、周りを見渡すことによって見つめ直してみるということも、あるいは一つの手がかりになるのだろうか――。角居康宏の新作を眺めながらぼんやりと考え始めていることに、ふと気がつく。


 いずれも「アイデンティティ」「ECHO」「影」などと名付けられている。ぶっきらぼうな印象ながら円柱は自立して立っている。

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角居康宏展“自分”

2022年5月16日(月)―5月28日(土)

11:00-18:00(日曜休廊)

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ギャラリー川船

東京都中央区京橋3-3-4 フジビルB1F

電話03-3245-8600

https://kawafune.com/