東京京橋のギャラリーなつかで王麗楠展「増殖」が開かれている(6月18日まで)。王は1993年中国河北省出身、2016年に湖北美術学院大学漆工芸を卒業。2020年金澤美術工芸大学大学院漆工芸を修了し、現在同大学院後期博士課程在籍中。昨年ギャラリイKで日本初個展を行った。
作家のことば、
私が自然と人間の精神世界の共鳴であり、自己の内的世界に芽生えた「美」を内省し、
それを乾漆技法によって漆の造形表現を探求します。
タイトルどおり、内的なエネルギーがむくむくと増殖しているような造形だ。おそらく已むに已まれぬ内なる欲求があるのだろう。若さを感じたのだった。昨年のギャラリーKの個展では、もう少し複雑な形でややうるさかった印象があったが、今回はだいぶ刈り込まれてすっきりしている。
乾漆技法で漆を扱ってかぶれないかと尋ねると、かぶれると言ってかぶれた腕を見せてくれた。私も子どものころ山谷を走り回ってウルシの樹に触れてかぶれた経験があるので、辛いだろうと同情した。でも以前漆の作家が慣れるのですと言っていた。
金澤美術工芸大学大学院修了の折りには学長賞を受賞している。日本に留学してますます活躍することを期待しています。
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王麗楠展「増殖」
2022年6月13日(月)―6月18日(土)
11:00-18:30(土曜日17:00まで)
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ギャラリーなつか
東京都中央区京橋3-4-2 フォーチュンビル1F
電話03-6265-1889