TAKU SOMETANIギャラリーのみょうじなまえ個展を見る

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 東京浅草橋のTAKU SOMETANIギャラリーでみょうじなまえ個展が開かれている(3月15日まで)。みょうじは2019年度東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業し、現在同大学大学院博士課程に在籍中。今回が初個展となる。
 作家のテキスト

性別、国籍、所属、名称、性的指向
思いつく限りの要素を並べても、それらは何一つとして私個人のアイデンティティを定義しない。
アイデンティティとはただ自分がそこにあれば得られるものではなく、
誰かと共に生きていく中で、互いに役割を与えあいながら形成され保たれていくものだ。
私の作品の多くは、私的領域にある肉体や精神に関する事柄の違和や虚しさを表象化した自画像である。
そして今を生きる私や、あなたや、あなたのような誰かが織り成すアイデンティティとその消費を巡る問題が、常に私を作品の制作へ向かわせる契機となっている。

 モニターに映し出されている動画作品がある。ビーズのようなキラキラしたものを背景に女性が写っている。よく見ると眼とかが動いている。女性の体にビーズのようなもを実際に貼っているのだという。隣のモニターでは同じビーズのようなものを貼り付けたおそらく同じ女性の腰のあたりが写っている。微妙に動いているので見ていると股から小さな人形が出てきた。どうやら出産のシミュレーションのようだ。別のモニターではその動物のような人形の耳とか尻尾とかをハサミで切っている。画廊主によると、これは生まれた子どもが人に仕立てられていくことの象徴らしい。ボーヴォワールの「女は女に生まれるのではない、女になるのだ」を思い出す。

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 ほかにも作家が自分の体にペイントしたものを写真に撮り、それを再びシャツに仕立てたものや、ろくでなし子と同様女性器を型取りして立体に仕上げたオブジェなどがある。ろくでなし子と似ているが、みょうじはもっと戦略的というかソフィストケイトされていて、ビーズのような可愛いもので飾っているので直接的な印象が薄れ、おそらくこれなら問題視されることはないだろう。
 ここに優れた作家が誕生し、その初個展に立ち会ったことを喜びたい。本展を企画した画廊主の染谷琢さんの慧眼に称えたい。
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みょうじなまえ個展「あなたのような誰か」
2020年2月23日(日)―3月15日(日)
13:00-19:00
月曜日休廊
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TAKU SOMETANIギャラリー
東京都中央区日本橋馬喰町2-4-1 Bakurocactus 4F
電話090-8689-8050
http://takusometani.com/
JR総武線浅草橋駅西口から徒歩数分、SAN-AIギャラリーのビルの4階