ギャラリー枝香庵の野澤義宣展「-己事記-」を見る

 東京銀座のギャラリー枝香庵で野澤義宣展「-己事記-」が開かれている(10月14日まで)。野澤は1947年東京都生まれ。1966年寛永寺坂美術研究所に学ぶ。1974年臥牛会を結成(2006年退会)。以前は真っ黒な画面を作っていた。現在は基本的に抽象的な作品を描いているが、同時に顔シリーズなどの具象画も描いている。数年前の個展では寒山拾得を描いていた。

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(上の作品の一部)

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(上の作品の一部)

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 白い絵具を塗り、その上に黒い絵具を重ね、黒い絵具を削って白い細い線で形を描いている。人のような形が描かれ、その体の中にはごちゃごちゃした形が描かれている。背景にはフリーハンドの升目や平行線、同心円などが描かれている。歌舞伎役者が見得を切っているような絵もある。広場に多くの人が集まっているような作品もあるが、よく見ると人にも見えるが記号のようでもある。観音菩薩阿弥陀如来が飛来しているような作品もある。
 野澤は何を描いているのだろう。おそらく内面のイメージなのだろうが、それは野澤が抱える象徴的な世界像というか自己像のようなものではないか。野澤は論理的に言葉で考えるのではなく、世界や自己を混沌としたイメージで捉えているのではないだろうか。個展の表題もいつも「-己事記-」としている。
 野澤は思索の画家と言って良いのかもしれない。象徴主義の画家とも言えるのではないか。不思議な魅力を持った画家だ。
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野澤義宣展「-己事記-」
2019年10月5日(土)-10月14日(月)
11:30-19:00(日曜日と最終日は17:00まで)
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ギャラリー枝香庵
東京都中央区銀座3-3-12 銀座ビルディング8F
電話03-3567-8110
https://echo-ann.jp