ギャラリー砂翁の野澤義宣展「―己事紀―」を見る

 東京三越前のギャラリー砂翁で野澤義宣展「―己事紀―」が開かれている(11月30日まで)。野澤は1947年生まれ。数年前までの10年間ほどは真っ黒な画面を作っていた。現在は基本的に抽象的な作品を描いているが、同時に顔シリーズなどの具象画も描いている。






(上の作品の一部拡大:人や建物が見える)



 今回の主たるものは板を彫刻刀で彫りそこに絵具を置いてたもの。点を散らしただけのようなミニマルなものから中心に大きな円を描いているもの、小さな円を画面一杯に描いているものなどがある。
 もう一つ新しい傾向の作品があり、白い画面に細かい線画のようなものが画面一杯に描かれている。近づいて見ると建物や人の姿が描かれている。野澤に訊くと、白い絵具を厚く塗ってそれが乾かないうちに鉛筆で描いているという。そのアップの写真を載せておいた。左下隅から描き始めて絵具が乾くまでのたった1日のうちに描き上げるという。
 このほか墨の作品もあり、またギャラリーの地下にある売店には顔を描いた小品も並んでいる。
 野澤は毎年個展をしているが、様々な作風を見せてくれる。そうでありながらまた、それらがいつも野澤の作品である。毎回どんな作品を見せてくれるのか楽しみな画家の一人だ。
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野澤義宣展「―己事紀―」
2011年11月21日(月)―11月30日(水) 日曜・祝日休み
11:00〜18:00(最終日17:00まで)
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ギャラリー砂翁
東京都中央区日本橋本町1-3-1 渡辺ビル1F
電話03-3271-6693
http://www.saohtomos.com
地下鉄(銀座線・半蔵門線三越前駅A1番出口より徒歩3分