山本弘展のDM葉書


 山本弘展のDM葉書が出来上がった。
 展覧会会期は9月24日(月・祝日)−9月29日(土)
 11:00−18:00(最終日は17:00まで)
 会場は去年と同じ、アートギャラリー道玄坂 
 東京都渋谷区道玄坂1-15-3 プリメーラ道玄坂102 
 電話03-5728-2101
 http://www.artshibuya.com


JR渋谷駅から渋谷マークシティをまっすぐ進み、エレベーターを利用して4階まで上がる。両側がガラスブロック壁の通路を過ぎ、右手にビアホールのLION、カフェのエクセルシオーネ、左手にうどんの美々卯、とんかつの和幸を過ぎ、左手のコンビニ・ファミリーマートの手前を左折、マークシティのビルを出て右へ、すぐ左へ折れるとギャラリーの看板が見える。渋谷駅から徒歩数分。


 葉書の絵は「銀杏」、F20号。1978年10月の最後の個展で発表された。山本はこの3年後に亡くなる。1976年、1977年と断酒していたが、1978年の初めからまた酒を飲み始める。やがて体調を崩し入退院を繰り返し、1980年1月にふたたび入院し、長期入院は翌年4月まで続く。退院後3カ月ほどで自死する。享年51歳。
 1976年から1978年までの3年間に、飯田市内の公民館や勤労福祉会館など大きな会場で4回の個展を開いている。それぞれ50点前後の油彩作品を並べた。まさに山本弘の豊穣の歳月だったと言えるだろう。代表作もこの3年間に集中している。今回の個展に展示するのも、この3年間に描かれたものがほとんどだ。
 以前、葉書の「銀杏」について書いたことを再録する。

 イチョウの木の根元を描いている。おそらく夜だろう。背景の暗い紺色からイチョウの幹が浮き出ている。暗い紺色に青が混じり幹の輪郭を明るい空色が縁どっている。単純な造形だが、なぜ夜のイチョウを描いたのだろうと不思議だった。それが分かったのは奥村土牛の「醍醐」を知ったときだ。奥村は醍醐寺の満開の豪華な桜を描いている。「銀杏」は「醍醐」の構図を使っている。「醍醐」の華やかな構図を引用して山本は夜のイチョウを描いたのだろう。決して華やかではない暗い夜にすっくと立っているイチョウの力強い姿を。
 1978年10月の飯田市公民館での最後の個展で発表された。山本晩年の傑作のひとつだろう。山本は長谷川利行が好きでひそかに私淑していた。利行に触発されたような作品を描いていた。しかし晩年には利行をはるかに引き離したこのような境地に至っていた。

 どうか、多くの人たちが見に来てくれることを!