DVの歴史


 DV(家庭内暴力)について、朝日新聞の「サザエさんを探して」のコラムに過去の事例が紹介されている(2018年8月4日)。それは驚くべきものだ。1969年に朝日新聞に掲載された「サザエさん」ではバス停で夫が妻を殴っている。妻が姑に口答えしたことを夫が咎めているというものだ。周囲の大人たちは「なつかしき情景ですなア」と驚きもなく見ている。
 朝日新聞のコラムでも、DV問題に詳しい弁護士の角田由紀子さん(75)の言葉を紹介している。

 「2001年にいわゆるDV防止法ができるまでは、他人の妻を殴れば傷害罪になるのはわかるけれど、『自分の女房を殴って、なぜ犯罪に?』というのが日本の男性の普通の感覚でしたから。結婚したとたん妻を自分の所有物のように思う男性は今も多いです」

 50年前はサザエさんのマンガのようなDVが普通のことだったようだ。それで思い出すのは、『ひとりの女に』や『小さなユリと』を書いた詩人、あの優しい詩を書いた、愛する妻や娘を歌った詩人黒田三郎がDVをしていたことだ。黒田が亡くなったあと、妻黒田光子が黒田のことを書いた本で明かしている。
 もう一人、文芸評論家の江藤淳は妻が亡くなったあと後追い自殺をしている。この江藤もDVをしていた。後追い自殺をするほど好きだった妻にだ。それらが少し納得がゆかなかったが、サザエさんのマンガを見て、当時の風潮がそうだったのかと分かった気がした。