ジョン・ル・カレ原作のテレビドラマ『偽装の棺桶』

 むかし、NHKテレビで『偽装の棺桶』というテレビドラマを見た。イギリスのBBC放送が制作したものをNHKが放映したのだ。原作がスパイ小説の第一人者ジョン・ル・カレだった。脚本がスタンリー・マンだったことを憶えている。
 東ドイツから西ドイツに密出国する話だった。内容はほとんど忘れてしまったが、ストーリーを推し進めるエピソードがすべて最後のどんでん返しの伏線になっていたという恐るべき構成だった。さすがル・カレというべきか、スタンリー・マンというべきかと少し悩んだ。
 もう一度見ることができないか、でなければ原作の短編が読めないかと思っていたが叶わなかった。mixiのル・カレのコミュに、そのことを投稿したら、イギリス在住のハンドルネーム「だるま」さん(女性)という方が調べて報告してくれた。それを勝手に転載すると、

 30年前にNHKが放送した、『偽装の棺桶』の原作が分かりました。
 地元の図書館員が、たぶん、『Dare I Weep, Dare I Mourn』(1966)のことだろうと教えてくれたので、検索してみると、脚本がスタンリー・マンとあったので間違いないと思います。
 ル・カレの短編作品で、主演はジェームス・メイソンのテレビドラマです。Youtubeにもクリップがありました!
 主人公(J.メイソン)は、死んだ父親の遺体を受け取るため東ベルリンに渡ります。実は、まだ東側で生きていた父親は、余生を西で過ごすため、死んだふりをして国境を超える計画を企てます。支配的で傲慢な父親。そんな態度に耐える息子。最後はとんでもない結末をむかえる冷戦メランコリーだそうです。
 NHKアーカイブが残ってるはずなので、またオンデマンドとかでやってほしいですね。

 だるまさんは、Youtubeのクリップも紹介してくれていた。
 30年前に放送したものだったか! 言われてみるとジェームス・メイソンで間違いない。昔々『かもめの城』のお父さん役で見た役者だった。原作がル・カレで、脚本がスタンリー・マンとは豪華なスタッフだと当時も思った。スタンリー・マンは『コレクター』でアカデミー脚本賞も取ったハリウッドの有名脚本家なのだ。演出は誰だったのだろう。「NHKアーカイブが残ってるはず」ならぜひ見たい。また日本では未訳なので、誰か翻訳してくれないだろうか。